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空を駆ける姫御子
第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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供かと思いながらも、ディエチはイメースカノンへと走る。構え、瞬時にヘリへと照準を合わせた。

「邪魔しないの?」

 気がつけば、アスナはクアットロから貰った飴を頬張りながらイメースカノンを構えているディエチを見ていた。邪魔する気配は、ない。管理局の魔導師としては言動も行動も何もかもが、おかしい少女を理解出来ないままディエチは──── 引き金を引いた。





 リイン曹長からもたらされた情報に、驚愕と動揺が走る。ヘリに大規模質量の砲撃が直撃。ジャミングが酷い為、それ以上の情報を知ることが出来ない状況だった。

「てめぇ……シャマルに……ヴァイスに何かったら……おまえをこの場で殺してやるっ」

「ヴィータ副隊長っ、落ち着いてくださいっ」

「落ち着いてられ『─ち─Sta─01。ヘリ──衛─成─』な、なんだ」

──── その声は。とても安心できて。

『こちら、Stars01(高町なのは)。ヘリの防衛に成功。繰り返します、ヘリは無事だよ』

──── とても力強い声だった。

 その場にいた全員の歓声が上がる。あたし自身も、ほっと息を吐いた。……最近、アスナが教導官と言う肩書きだけで『先生』と呼んで懐いている理由がわかる気がするわ。何となくだけど。





「冗談でしょ。ヘリを墜とすには十分だった筈。あれを防御したの? 無傷で。それに……撃つ瞬間までいなかった」

 ディエチの驚きとも感心ともとれる言葉を聞き取ったクアットロは、何かに気がついたようにアスナを見た。アスナはいつの間にか屋上の端に立っている。下から吹き上げるビル風でアスナの髪が踊る。

「えっとぉ。二つほど質問があるんですけど、いいですかー」

 アスナは何も答えない。その軽い口調とは裏腹に、クアットロと呼ばれた女の瞳には──── 兄である桐生や、ティアナ・ランスターと同じ光が宿っていた。ゴーグルの下の瞳を鋭く細める。アスナは確信する。自分が尤も苦手とする戦い方をするタイプの女だ、と。

「私の念話に割り込んで悪戯したのも、ディエチちゃんとのお馬鹿なやり取りもぉ……()()()が来るまでの時間稼ぎですね?」

 アスナは……何も答えない。

「沈黙は肯定と一緒ですよぉ。それともう一つ。時間稼ぎって、弱い人には無理なんですよね。仲間が来るまで保たせなければいけませんし。私のように搦め手を使う人もいますけど、あなたはそのタイプには見えませんしねぇ。……何故と聞いても良いですか? あなたならやろうと思えば、私達を倒してしまうことも簡単だったはず」

 クアットロの言葉に驚いたディエチは目を見開いた。そして、彼女は思い出した。屋上の端で髪をなびかせながら立っている少女は決して単独で戦いを挑むな
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