第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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で、キャロに拘束されていた巨大な昆虫が送還され、消えていく。間違いない、この少女は……召喚士だ。
融合騎の方はリイン曹長によって物理的に拘束されている。召喚士の少女へ視線を移してみれば、背中まで流した色素の薄い髪を風に揺らしながら、相も変わらず人形のように佇んでいた。……アスナとは全く違うベクトルの無表情。あたしはなぜか薄ら寒い物を感じて──── 自分の肩を抱いた。
人気も車の影すらないハイウェイの一角で、ヴィータ副隊長が身柄を拘束する際の口上を読み上げている。だが、それまで眉一つ動かすことなく一言も発しなかった少女が──── 小さく口を開いた。
──── ヘリは放っておいていいの?
粗末な廃ビルの屋上に二人の人影。深い青を基調とした体にフィットしたスーツは些か扇情的ではあったが、二人の少女は全く意に介していないようであった。
「だけど、本当に墜として良いの?」
「構わないそーです。あれが本物なら死にはしないそうですから」
「で? 『クアットロ』はさっきから何やってるの? 随分楽しそう」
クアットロと呼ばれた眼鏡を掛けた少女は、瞳を猫のように細めた。
「んふふ。絶望と言う名のスパイスを小さじ一杯ほど」
「……趣味が悪い。あたしには関係ないけど」
<はいはーい。ルーお嬢様ぁ。……クアットロの言う通りに>
「こんなところで私に構っている暇があるの?」
──── この少女は
「あのヘリには大切な仲間が乗っているんじゃないの?」
──── 何を言っている?
「てめぇっ」
ヴィータ副隊長が激高する。だが、少女は。臆することなく言葉を続けた。
「あなたは、また──── 河童の川流れ」
空気が死んだ。空気が凍ったでも良い。少女の言葉を何とか理解しようと、エリオとキャロは可愛らしく小首を傾げ、ヴィータ副隊長は難しい顔をしながら空を見上げる。リイン曹長が、「河童、知ってるです」と呟いたが、取り敢えずは無視だ。
「ティア? 何かもの凄い既視感が……すぐそこにアスナがいるような」
「……言うな」
あたし達の様子を訝しく思ったか……当然抱く疑問だろうけれど、初めて少女の顔にほんの少しだけ困惑が浮かんだ。
<クアットロ?>
<も、申し訳ありませんっ。だ、誰かが私の念話に割り込みを>
クアットロの混乱しているような様子を見て取ったもう一人の少女は駆け寄りながら、声を掛けた。
「どうしたの?」
「……どうした」
「ディエチちゃん、誰かが念話、に……」
「……ねんわな」
クアットロとディエチと呼ばれた少女は顔を見合わせる。……声が一
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