第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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女達の姿は消えていた。ヴィータ副隊長は目を二、三度瞬かせると悔しげに舌打ちをする。
「リイン」
「ばっちり補足してるですよ」
「……よし、追うぞ。な、なんだっ」
揺れる。地下水路全体が、ミシミシと音を立てながら揺れ始めた。地震など殆ど起こらないミッドチルダで、これだけの揺れ……人為的なものを感じる。あたしが声を掛けると、スバルは力強く頷いてみせた。振り上げた右拳を床へ撃ちつける。ウィングロードが螺旋状に展開され、ヴィータ副隊長が開けた天井の大穴まで伸び上がった。……即席の螺旋階段だ。
「スバルのウィングロードはこんな時に便利よね。アスナっ、行くわよ」
「……どこに。なんかよくわからん」
「憶えてないの? さっきのヤツに攻撃されて気を失ってたのよ」
「……マジで?」
「本当。早く地上に出るわよ」
本当のことを今話したところで意味は無い。……後でも話さないけれど。
アスナは暫く首を傾げていたが、やがてどうでも良くなったらしく自分で駆け上がっていった。アスナはスバルのウイングロードが苦手なのだ。本人曰く足を踏み外しそうで怖いと言う事だが、何もないところを平気で走る方が怖いのではないだろうか。そんなアスナを見ながらウイングロードを駆け上がる。
身元不明の幼い少女。生体ポッド。人造魔導師。あたし達の前に立ちはだかった『敵』。そしてこの地震。地上へ向かっているあたし達に待っている厄介ごとは何だろうか。天井に開いている大穴が、得体の知れない生き物が口を開けているようにも見えた。
先行していたアスナが、ふいに立ち止まると何もない空中に視線を送った。追い抜く際に声を掛けようとしたが思いとどまった。ゴーグル脇にある小さなインジケーターが点滅している。念話だ。アスナは念話が酷く苦手でデバイスの補助がなければ長距離は疎か、中距離での念話も侭ならない。ここであたしは失念していたことを思い出した。六課に三つある分隊の何処にも所属していないアスナのコールサインは、なんだったか────
<こちら、Lightning01。『FreeBird』へ。……聞こえる?>
<……だれですか>
<アスナ? みんなのコールサインは憶えておこうね。フェイトだよ>
<……なんのごよう?>
<うん。アスナにお願いしたいことがあるんだ>
<……どんとこい>
<う、うん。アスナにやって欲しいことは────>
スバルのウィングロードを駆け上がり地上へ出たあたし達を迎えたのは朽ちかけのビル群と、もう使われなくなったハイウェイだった。いつの間にやらあたし達は廃棄区画まで来ていたらしい。アスナは地上へ出るなり、ヴィータ副隊長やリイン曹長と
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