第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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ッティ。
それは、ほんの気紛れだった。『マテリアル』とレリックの奪還に赴いていた『娘』達が戻ってきたのを見計らい、彼女達の前に顔を出した。だが、その気紛れが。ジェイル・スカリエッティをこの上なく愉快にさせる結果となる。姦しい少女達の喧噪にスカリエッティは、少しだけ眉を寄せたが気を取り直し声をかけた。
「随分と騒がしいね……何か、面白いことでもあったかな」
これに驚いたのは、『娘』達だった。彼女達を代表するかのようにトーレがスカリエッティへ答える。
「ドクター、何故こちらに?」
「何、唯の気紛れさ。……『マテリアル』とレリックはどうしたかね?」
「……申し訳ありません。奪還に失敗しました。私の責任です」
そう言いながら、トーレはスカリエッティへ深々と頭を垂れた。
「ふむ。……頭を上げたまえ。咎めたりなどしないよ。奪い返す機会などいくらでもある。今は彼女達に束の間の勝利を味わって貰うとしよう。それと腕を負傷しているようだね。直ぐに再調整しよう」
「ありがとうございます。それと……ケースにこんなものが」
トーレから差し出されたのは一枚のメモ。スカリエッティはメモを受け取ると、紙に踊っている綺麗な文字を視線で追った。トーレは内心驚いていた。ジェイル・スカリエッティという人物が狂気じみた嗤い声を上げているのは何度も見たことがある。だが、今の彼は少年のように笑っているのだ────メモにはこう書かれていた。
『親愛なる狂信者へ ドレスの準備は整いました。紳士的なエスコートを期待してるわ』
「いや、すまないね。トーレは憶えていないかい? いつだったか研究施設を襲ったとき……戯れに壁に残したメッセージを」
「メッセージ……あ」
──── 月夜に踊る準備は出来ているか?
「機動六課の諸君は頭の固い連中ばかりだと思っていたが……中々どうして、ユーモアを解する人間もいるじゃないか。……いいだろう。ご期待に応えようじゃないか。……紳士的に、ね」
──── さぁ、喜劇の開幕だよ。
〜邂逅 -Numbers. 了
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