第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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トロが、ふと空を見上げる。そこにあったのは────
「あ……」
──── 『黒い太陽』だった。
「く、空間広域攻撃……あたし達を捕まえるのに、ここまでするの?」
「ここが廃棄区画だと言うことで、割り切っているのかも知れませんねぇ」
二人の見ている前で爆発的に質量を増した黒い太陽は、全てを飲み込んでいく。クアットロはディエチを抱え込み、自分達を飲み込もうと迫る魔法から逃れるべく全速力で空へと翔んだ。
「ぎりぎりでしたぁ」
──── それは、どうかな?
前方にヘリの撃墜を食い止めた白い魔導師がいた。後方には先ほどまで自分たちを追い詰めていた、黒の魔導師。前門の虎後門の狼。一難去ってまた一難。万事──── 休す。白と黒が、デバイスを構えるのと同時に。大気を震わせる咆吼を轟かせながら砲撃が放たれた。
桜と金色が、ぶつかり合い轟音と共に爆発する。六課オペレーター陣は勝利を確信し歓声を上げた。だが、そんな雰囲気に水を差すように、なのはとフェイトから淡々とオペレーター陣へ事実が告げられる。
「だめ、回避された」
「直撃する瞬間に救援が入った。まだ、遠くへは行っていないはず……追って」
「た、助かりましたぁ。トーレ姉様」
「はぁ、感謝……」
「馬鹿者共が。手間をかけさせるな」
トーレと呼ばれた背の高い女性は腑甲斐ない妹達を鋭い瞳で叱責した。片手に抱えていた二人を降ろすと、藤色したショートヘアを乱暴にかき上げる。口調や仕草で二人よりも凜々しい印象だ。ディエチは息も絶え絶えといった樣子で、トーレを見上げる。そして、驚いたように立ち上がった。
「トーレ姉、左腕が」
トーレの左腕は力なくだらりと下がったままだった。
「おまえ達を助けに入った時に、な」
「そんな……あの程度の砲撃でですか。あり得ません」
トーレが施された肉体増強レベルはオーバーS。少なくとも、なのはとフェイトが放った砲撃程度の威力では金属の骨格は疎か、肉体に傷を付けることも困難だ。
「にわかに信じ難いがな。おまえ達を抱えて離脱する瞬間、左腕に直撃された。なんだと思う? ……唯のコンクリート片だ」
「嘘……」
ディエチが信じられないような表情をしながら呆然と口にした。
「ドクターの言っていた通りだ。機動六課には面白い魔導師がいるらしい。それと、お嬢の救出は既に『セイン』が完遂させている。……戻るぞ」
「面白い魔導師……」
「まさか……」
クアットロとディエチは何かに思い至ったように、それを口にした。トーレはそんな二人の樣子を見て、ほんの僅かに唇の端を吊り上げる。トーレは自分に迫り来る物をコンクリートの破片だと理解した時。
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