第二十二話 〜邂逅 -Numbers.【暁 Ver】
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「『封緘』は、外れていませんね?」
『そちらは問題無い。そんな事になっていたら『Unknown』は生きてはいないよ』
「冗談としても笑えま」
状況を確認する為に『フラッター』から送られてきた映像を見た桐生は、それこそ伝説の怪物に魅入られたかのように動きを止めた。映像の中にいた『Unknown』は、つい最近彼が遭遇した者だったからだ。アグスタの地下駐車場で出会ったアレはジェイル・スカリエッティの使いだったはずだ。それは、今現在彼女達が扱っている事件にスカリエッティが関与していることに他ならない。
『桐生、どうかしたのかい?』
「因縁と言うか、出来すぎと言うか……いえ、何でもありません。状況は把握しました、あなたは何もしなくて良いですよ」
『しかし』
「平気ですよ、恐らく。だって、ほら」
──── アスナはもう一人じゃありません
スバルの踵は、アスナの右肩を強かに打ち付けるに止まった。だが、まだ終わらない。スバルは小さく舌打ちすると、今度は右脚をアスナの側頭部めがけて振るう。アスナは打ち付けられた肩の痛みなど物ともせず、緩りと挙げた左腕でガードした。スバルは──── まだ、終わらない。右の蹴りをガードされるや否や、今度は体を錐のように回転させると、左の後ろ回し蹴りを頭部へと放つ。
「スバルさん……凄い……」
いつの間に傍に来ていたのか、エリオが呆けたように呟く。隣にいるキャロもエリオの袖を掴みながら、驚いたように見ていた。
アスナと言えば、シグナム副隊長との模擬戦の印象が強い。だが、純粋な接近戦による格闘でアスナとまともに戦えるのは、シグナム副隊長やヴィータ副隊長を除けば……実は、スバルだけなのだ。それも当然で、スバルがどれほど、アスナと戦い──── そして、どれほど見てきたのか。シューティングアーツだけに拘らない柔軟な思考。取り入れたものを自分の技にまで昇華できる器用さと努力。
先ほどの『独楽鳥』が良い例だ。独楽鳥は本来、踵落としで終わる技だ。だけど、スバルは踵落としから始まる空中での三連撃にまで昇華させた。あれは間違いなく──── スバルのオリジナルだ。
「あいだっ」
……着地に失敗するところが、実にスバルらしいけれど。アスナは流石に衝撃を受けきれず、よろめくように体勢を崩すと膝をついた。スバルの御陰でアスナがアレの足首を離した。『人型』は緩慢な動きではあったが、立ち上がると同時に、一足飛びで離脱する。体を覆っている装甲のあちこちに罅は入っているが、問題無いようだ。人であろうが、そうでなかろうが、あの娘に『何か』を殺させて堪るものか。そんな事になったらきっと───
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