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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百二十三話:辛い記憶に上書き
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んだから!



 黙り通すことを決めた私に、その後もヘンリーは口説いてるんだかそうでないんだか微妙な線の甘い言葉を、甘い声で囁き続け。
 抱き締めながら頭や背中を優しく撫でたり、髪に指を差し込んで梳いてみたり。

 甘やかすと言えばそうかもしれないが、甘やかし方の種類が変わってきてませんかね!?
 と、激しく動揺しながらあくまで沈黙を貫く私は、動揺し過ぎて段々ぐったりしてきて。


 辛かったとかそんなことも本気でどうでも良くなってきた頃に、ポートセルミの町に到着しました。


「……ヘンリー。……町に、着いたし。……もう、いいでしょ……。……離して……」

 ぐったりとヘンリーに凭れかかりながら、長い沈黙の後に久しぶりに発した声は、自分でもびっくりするほど弱々しいものでしたが。

「離したら、もう倒れそうだろ。このまま運んでやる」
「…………誰のせいで…………」
「俺のせいか?」
「……」

 違うとでも言うのか。

「でも、楽になっただろ?辛かったのは」
「……」

 ……そうだけど!
 代わりに違う部分が、消耗し過ぎたんですけど!!

「着いたな。行くぞ」
「……」

 宿に着いたところでまた抱き上げられて、もはや抵抗する気力も無く身を委ねる私。
 私がこれだけ動揺したのに、涼しい顔をしてやがるのが憎ったらしい。


 ヘンリーに抱かれてぐったりしてる私を見て、仲間たちが心配そうな顔をしましたが。
 私の顔を覗き込んだら、なぜか安心したようです。

 そうですか、そんなに顔に出ますか。
 ぐったりし過ぎて赤面する気力も残ってなかったので、赤くはなかったから良かった。


 ……十年ぶりのモモとのお泊まりだから、お風呂でよく洗ってあげたいんだけど。
 ベホイミでもすれば、なんとかなるかな……。

 なんてことをぼんやり考えながら、周りの目を気にする余力も無く、ただ運ばれて行く私でした。
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