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八条学園怪異譚
第四十七話 洋館ではその十六
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もう一人フーシェというのがおってこちらは賄賂や不倫とは無縁じゃったがやはり陰謀家だった」
「しかも一人じゃないんですか」
「そんな悪人が」
「確かに悪人じゃったが二人でフランスを救いもした」
「悪人が祖国を救ったんですか」
「何か複雑なお話ですね」
「悪人じゃったが政治力もあり売国奴ではなかったのじゃよ」
 ジョシュワは二人にこうも話した。
「だからフランスを救えたのじゃよ」
「まあ日本じゃ政治力も何もない売国奴が総理大臣になったからね」
 ビクトルは日本人の顔で無念そうに述べた。
「しかも二人もね」
「タレーランやフーシェはフランスを救ったらその連中は日本を貶めた」
 ジョシュワは今度はこうも言った。
「世の中こうした話もあるのう」
「ううん、何か意味深いお話ですね」
「悪人が国を救うこともあるんですね」
「そしてどうしようもない奴もおる、人格も能力も品性もない奴がだな」
「そのこと、覚えておきます」
「何か忘れたらいけないことですよね」
「そうじゃ、覚えておくことじゃ」
 実際にそうするべきだと告げるジョシュワだった、そうして。 
 今は七人とジョシュワを入れてインスタントコーヒーを楽しんだ、それはインスタントだがはっきりとした美味しさがあった。


第四十七話   完


                2013・8・15
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