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八条学園怪異譚
第四十七話 洋館ではその十四
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「変わるから」
「日本にいたらわからないことよね」
「神戸はかなりお水がいいって言われてるけれどね」
 火山灰の上にある関東と比べるとだ、確かに関西の水はよく神戸はその中でもかなりいい部類であろう。
 その関西についてだ、こう言うのだった。
「日本は全体的にね」
「お水がいいのね」
「そうみたいよ、お風呂だっていいお水で毎日入られるから」
「硬水で風呂に入るとあまりいいものではないぞ」 
 幽霊は聖花が風呂に言及したところでこのことを言って来た。
「正直なところな」
「そんなにですか」
「よくないんですか」
「中には雨水を風呂に使っていた人もいる位だ」
 十六世紀の貴族ディアヌ=ド=ポワティエだ。老け込まない美貌が月の女神とさえ呼ばれ二十歳年下の国王アンリ二世を終生夢中にさせた。
「とにかくフランスは水がよくない」
「じゃあフランス料理もですか」
「お水は」
「少なくとも水は日本の方がずっといい」
「ずっとですか」
「本当に違うんですね」
「まず水に驚いてじゃ」
 幽霊、フランスから来たジョシュワはさらに話していく。
「その独特の文化にも惚れ込み素晴らしい気候にも魅せられた」
「神戸のですか」
「それになんですね」
「うむ、四季がありそこに常に花鳥風月がある」
 それに魅了されたというのだ。
「こんないい国はないぞ」
「それで日本にですか」
「今もおられるんですね」
「食べ物もよかった」
 もう生身でないから食べることはない、しかし身体があった頃は存分に楽しんだというのだ。
「蕎麦は最高じゃった」
「ああ、お蕎麦ですね」
「あれがお好きだったんですか」
「特にざるそばが好きじゃった」
 まさに通の言葉であった。
「そばつゆで食するのがな」
「関西のおそばかな」
「東京にも何度か仕事なり旅行で行ったがな」
 そこで東京の本場と言われる蕎麦を食べてみたが、というのだ。
「わしの口には合わなかった」
「関東のお蕎麦って違うからね」
「そうなのよね」
 ここでまた話す愛実と聖花だった。
「特にダシがね」
「辛いから」
「それは皆言うね」
 ビクトルはコーヒーを淹れつつ二人に応じる、それを淹れつつ二人にこう問うてきた。
「サービスだけれどどう?」
「あっ、けれど喫茶店でコーヒーをただっていうのは」
「悪いんじゃ」
「大丈夫だよ、これインスタントだから」
「インスタントコーヒーですか」
「それなんですか」
「そうだよ、僕達がプライベートで飲むね」
 それだというのだ。
「だから気にしないで」
「ううん、インスタントですか」
「そっちなんですか」
「お客さんに出すのは豆のものだよ」
 れっきとしただ、それだというのだ。
「けれど普段はね、そっちの妖
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