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ヘタリア大帝国
TURN107 母と娘その七

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 言わない、何も言わずにスカーレットの傍にいるだけだった。そして東郷にはこう言うのだった。
「お嬢様の洗脳を解くことですが」
「無理か」
「はい、そう申し上げておきます」
 笑顔での言葉だ。
「特に貴方には」
「やはりそう言うか」
「というか離婚して頂ければ」
 毒も吐く。
「さあ、これにサインして」
「ああ、それはしまってくれ」
 離婚届が出て来たがあっさりと返す東郷だった。
「その書類にはサインをしない」
「それは残念ですね」
「とにかくだ、スカーレットの洗脳だが」
「私も今は打つ手がありません
 コロネアにしてもだというのだ。
「これといって」
「傍にいてもか」
「そうです、取り付く島もありません」
「俺達と共にいる時も同じだ」
 その時もだというのだ。
「真希には昔のままだがな」
「貴方にはですね」
「妻であるがな」
 それでもだというのだ。
「常に共有主義に引き込もうとしてくる」
「他の方に会われた時もですね」
「この前はグレシアさんに言っていた」
 レーティアの第一の側近である彼女にだというのだ。
「流石にグレシアさんは聞き流していたがな」
「あの人ならそうされますね」
「四姉妹の面々も困っている」
 特に誰が困っているかは言うまでもない。
「ハンナ嬢もこの前俺に零していた」
「今のお嬢様に対して」
「共有主義から解けないかとな」
「しかしそれでもですね」
「変わらない」
 共有主義のままだというのだ。
「どうしたものか」
「困りましたね、本当に」
 コロネアも知恵がない、ただ。
 アルビルダだけは違った、自分の部屋の中で斧を振り回しながらこんなことを言っていた。
「洗脳なぞ解くことは簡単だ!」
「えっ、簡単ですか?」
 あまりにも騒がしいので心配になって来てみたクーが応える。
「あの、大騒ぎしてるからどうしたかと思って来ましたけれど」
「それで来たのか」
「はい、アルビルダさんいつもこうですか」
「私はそうだ」
 その通りだというのだ。
「この通りだ」
「たまたま部屋を通って驚いたのですけれど」
「こうして身体を動かなさいと健康に悪いぞ」
「スポーツによるストレスの発散ですね」
「そうだ、御前も一緒に暴れるか」
「僕、いえ私は」
 困った顔でだ、クーは一人称を訂正させた。
「スポーツは水泳等をしていますので」
「そうか」
「そうです、ただスポーツですね」
「身体を極限まで動かしてだ」
「そしてですか」
「そうだ、後は風呂に入って腹一杯食って酒を飲んで寝るのだ」
 こう言うのだった。
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