TURN107 母と娘その五
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瞬く間に真希の前にその肉じゃがを出してきて言った。
「さあ、食べてね」
「うん、じゃあね」
「子供は繊細なのよ」
ここでだ、スカーレットは東郷に顔を向けて言った。
「貴方の味付けは少し濃いし切り方もね」
「大雑把なんだな」
「そう、だからね」
それでだというのだ。
「真希には駄目なのよ」
「相変わらず手厳しいな」
「そうよ、ただね」
「ただ?」
「努力は認めるわ」
それはだというのだ。
「貴方にしてもね」
「努力か」
「その手を見ればわかるわ」
見れば東郷の手には包丁ダコがある、それを見ての指摘だ。
「貴方はこれまで真希の為に頑張ってきたわね」
「最低限のことはしてきたつもりだ」
それはというのだ。
「俺にしてもな」
「そうなのね」
「それでどうするんだ?」
東郷はスカーレットの顔を見つつ彼女に問うた。
「真希のことは」
「私は真希の母親よ」
これがスカーレットの返事だった。
「それならわかるわね」
「そういうことか」
「ただ、共有主義についてはね」
「そのことだがな」
こう言って来ることはわかっていた、それでだった。
東郷はスカーレットに対してこう言ったのだった。
「少し歩くか」
「歩く?」
「そうだ、二人いや真希と一緒に三人で歩くか」
そうしようかというのだ。
「それでどうだろうか」
「歩いてどうかなるとでも思っているのかしら」
スカーレットは夫がそこから共有主義を捨てる様にしてくると見てうっすらと余裕の笑みを浮かべて返した。
「生憎だけれど」
「そうだろうな、しかしだ」
「三人で歩こうというのね」
「それは駄目だろうか」
妻のその青い、空を思わせる目を見て問う。
「駄目ならいいが」
「いいわ。確かに私は共有主義者だけれど」
それでもだとだ、スカーレットもこのことには素直に答えた。
「貴方の妻であり真希の娘よ」
「それならだな」
「ええ、それで何処に行くのかしら」
「色々だ
「色々?」
「そうだ、一つの場所じゃない」
行くにしてもだというのだ。
「太平洋の至る場所に行く」
「わかったわ、それじゃあね」
「行こう、お母さん」
肉じゃがと御飯を食べ終えた真希も笑顔で応える、そしてだった。
三人で様々な場所を巡った、この日はそれで終わりだった。
そしてその間にコロネアについては動きがあった、このことに関してはリディアが東郷に報告した。
「何とか洗脳は解けました」
「ああ、そうなのか」
「本当に何とかです」
疲れきった顔での報告だった。
「いや、私も総統さんも」
「疲れたのか」
「はい、何時間もかかって」
ようやくだというのだ。
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