TURN107 母と娘その三
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「そうしたことは」
「ないよ」
真希は父にはっきりと答えた。
「一度もね」
「そうだな、お父さんは嘘を言わない」
絶対にだというのだ。
「何かあってもな」
「だからだね」
「そうだ、だからだ」
「真希がお母さんと会えば」
「必ず大丈夫だ」
こう言ったのである。
「では今から会いに行こう」
「それじゃあね」
こうした話をしてそうしてだった、彼は真希と共にスカーレットの部屋に向かう。
部屋に入るとスカーレットとコロネアがいた、コロネアは真希の顔を見てそのうえでこう言った。
「お久しぶりですね、真希様」
「あっ、コロネアさん」
「お元気そうで何よりです」
真希には和やかなオーラを見せて話す。
「身体にいいものを食べていますか?」
「うん、いつもね」
そうしているとだ、真希もコロネアに笑顔で応える。
「お父さんに作ってもらってるよ」
「それは何よりです、ですが」
ここでだ、コロネアは東郷に顔を向けた。笑顔は変わらない。
だがそれでもだ、コロネアは東郷には凄まじい殺気を放ってそのうえでこう言ったのである。
「一応はよい父親なのですね」
「おやおや、剣呑だな」
「お嬢様に何か御用ですか?」
笑顔で目も笑っているが殺気は放ち続けている。
「共有主義の洗脳を解くおつもりですか?」
「その通りだ」
東郷はあっさりと答える。
「その為に来た」
「そうですか、無駄ですね」
「そう言うのかい?君が」
「私はお嬢様の忠実なメイドですので」
それ故にだというのだ。
「そうさせて頂きます」
「君も共有主義については知っているな」
「素晴らしい思想です」
「成程な、事情はわかった」
東郷はその目を光らせて言った。
「君もか」
「何か?」
「ここに他の者を呼ばせてもらう」
東郷には切り札があった、今は手元には置いていないだけだったのだ。
だが用意はしていた、それで今その切り札を出したのである。
レーティアとリディアを呼んだ、そしてだった。
二人はコロネアへの説得にかかった、そのうえでだった。
彼は真希と共にスカーレットのところに向かってだった、彼女と対した。二つの部屋で二つの対決がはじまろうとしていた。
スカーレットはソファーに座り二人を向かい側に座らせた、そしてだった。
コーヒーを出す、そして二人に言った。
「ここに来た理由はわかっているわ」
「共有主義は捨てないか」
「逆に貴方達に勧めたいわ」
夫と娘、家族にだというのだ。
「共有主義に入ることをね」
「やれやれだな、しかしだ」
「しかしなのね」
「真希と話してくれるか」
共有主義の話はしなかった、まずはだった。
真希に顔を向けてだ、こう言ったのだ。
「では今から
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