第一章 平凡な日常
番外4、不思議の国の要
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引っ掛かり、外れてしまった。
落ちていくそれを、不意に少年は目で追ってしまう。
しかし要はその事に気づいていなかった。
「あ、そう言えば名前言ってねぇな。オレは霜月要だ。漢字はこー書いて」
しゃがみこんで木の枝で地面に名前を書く。
その時に気づかぬ内に服の裾でペンダントが木の隅に追いやられてしまう。
要の説明が終わったとき、少年が口を開いた。
「僕は」
ボフン
突然またあの感覚に襲われる。
気がつけば、見慣れた並盛の道端に倒れていた。
「名前、聞きそびれたなぁ」
“僕は”の後の台詞が気になって仕方がないが、今さらどうにもならない。
「っあ……ペンダントが、ない」
ようやくそこで、大切なものがないことに気づいた。
落としてきてしまったのだ。
国すらわからない、あの世界に。
「凪……」
†‡†‡†‡†‡†‡
突然、目の前の人が煙に包まれたかと思ったら小さくなった。
可愛らしくツインテールに結ばれた髪、大きくくりっとしている瞳。
彼女は彼をちょっと見ると、どこかへと走り去ってしまった。
足元を見れば、『霜月要』と文字が刻まれている。
木の下を探してみると、あった。
ハート型のペンダント。
それを目の前にかざして見る。
「僕は、六道骸、ですよ」
クフフ、と小さく笑う。
そして少年、骸はペンダントをポケットにしまうと、リンゴを抱えてどこかへと走り去っていっ た。
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