第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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言葉も、空元気も全ては──── 皆の為に。
「さぁ、やろか。あんたらには悪いけど、もうちょっと付きおうてや」
展開している魔方陣に光が集まっていく。
──── ヴィータ、リイン。そして、なのはちゃん、頼むで……嫌な予感がするんや。
閃光が放たれた。
「……あ」
「アスナ、見つけたの?」
何事か声を上げたアスナに近づいていく。
「……かめ、げっと」
「は?」
アスナがあたしの目の前に、ずいと突き出したのは……両手両足をばたばたと動かしている亀だった。甲羅を掴まれ、じたばたしているその姿は非常に迷惑そうだ。どうしてこんな餌もない水路にと思ったが、大方ペットとして飼われていたのが逃げ出したか、或いは捨てられたかしたのだろう。捨てるくらいなら生き物を飼うなと本当に思う。
「で、どうするの、それ」
「……つれてかえる」
ペットショップで探す手間が省けたし、蜘蛛よりは亀の方が蛙と相性は良いだろう。少なくとも食べられはしまい。
「そう。大丈夫だと思うけど、一応アイナさんには報告してね」
アスナが無言で頷くのを確認したと同時に、キャロの皆を呼ぶ声が聞こえた。どうやら発見したらしい。
「それじゃ、連絡してから他のみんなと合流し」
『アスナ、ティアナ。何か来る』
ボブの警告にクロスミラージュを咄嗟に構える。微かに物音が聞こえる。何かの足音のような──── 何かを蹴りつけるような音が。音は断続的に聞こえ、次第に大きくなっていく。……近づいてきてるのだ。
「な、何? 何の音?」
スバルも気がついたようだ。その音はあたし達の真上を通り過ぎた。かと思うと、今度は水路に水しぶきが上がる。見えない? ステルスか。
あたしは烈火の如く声を出し皆へ警告する。一体何がいるんだ。それは、規則的に水の柱を上げながらキャロへと近づいていく。あたしは見えない敵にクロスミラージュを構え、照準を合わせる。が──── 舌打ちをしながら銃口を跳ね上げた。
──── 斜線上にキャロがいる
その瞬間、水柱が唐突に消え失せる。止まった? いや……上かっ。
「キャロっ」
「え」
あたしの警告も虚しく、それから放たれた魔力弾は容赦なく、キャロの小さな体を吹き飛ばした。直撃はしていないようだが、楽観は出来ない。あたしは足に力を入れキャロを目指した。
攻撃の余波で煙が立ちこめ、視界がすこぶる悪い。その中を──── 小さな影が、敵を目指して跳躍した。魔力弾が放たれた位置から場所を割り出したのだろう。本当に戦い慣れしてきている……エリオは、敵へ
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