第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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はそう言いながら地下水路の無機質な天井を見上げた。
発動キーを詠唱。
「来よ、白銀の風。天よりそそぐ矢羽となれ」
発動キー確認。……実行キーを詠唱。
──── Hr?svelgr
八神はやてから放たれた白銀の閃光が、雲を切り裂きながらガジェットを追い詰める。事態を重く見たはやては、クロノ・ハラオウンへリミッター解除の申請をした上で、自ら戦場へと赴いた。
解除されたリミッターは──── 3ランク。それでも、Sランク魔導師としての力を発揮したはやての砲撃から、ガジェット如きが逃れる術など無かった。放たれた閃光は一群、また一群と次々にガジェットの編隊を飲み込んでいく。
超長距離砲撃魔法である、『フレースヴェルグ』はユニゾン無しではコントロールが困難だ。その為、はやてのデバイスである『シュベルトクロイツ』と、六課オペレーターの補助が必須である。その関係もある為に、六課司令室に於いて砲撃の樣子をモニタリングしていたのだが──── その樣子を彼女達も食い入るように見ていた。
「凄いわね……」
本当に陳腐だが、凄いという感想しか出てこなかった。
「ガジェットの編隊が、あっという間に消えていくよ……」
「標的に着弾すると周囲を巻き込んで炸裂するのか……殲滅魔法よね」
凄いなんてものじゃない。この時、あたしは隊長陣のリミッターというものを真に理解した。
「八神部隊長のどうや見たか、みたいな顔が目に浮かぶようだわ……ちょっとヤな感じ」
「どうして、ティアはそんな事言うの」
『どうやっ。まだまだ、いくで』
「……ティアナとおなじこと言った」
「八神二左って、こんなキャラクターだったかしら……」
ギンガさんが不思議そうに呟くが、あたし達から見ればいつも通りの八神部隊長だった。
「概ねいつもこんな感じです。どうせ後でシグナム副隊長に怒られるでしょうから。さて、あたし達は目的のレリックを探しましょう。この近くなのよね、キャロ」
「はい。この周辺だと思います」
「それじゃ、手分けして探しましょう」
荒く息をつく。八神はやては乱れた呼吸を整えるように天を仰いだ。
「空元気は、やっぱり続かんわ。連続は流石にキツいなぁ」
空を覆う雲は自分の足下にある。視界に入るのは、青の絵の具を溶かし込んだような──── 蒼天。彼女は青を暫く眺めていたが、やがて。まっすぐ前を向き目を細めた。
「泣き言は終わり。実機と幻影の解析が終わるまでの辛抱や。それに部隊長が前線に出たからには、余裕綽々でおらんとな。みんなが不安になってまう」
実に彼女らしい考え方だった。巫山戯た
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