暁 〜小説投稿サイト〜
空を駆ける姫御子
第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
[9/12]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
はそう言いながら地下水路の無機質な天井を見上げた。





 発動キーを詠唱。

「来よ、白銀の風。天よりそそぐ矢羽となれ」

 発動キー確認。……実行キーを詠唱。

──── Hr?svelgr(フレースヴェルグ)

 八神はやてから放たれた白銀の閃光が、雲を切り裂きながらガジェットを追い詰める。事態を重く見たはやては、クロノ・ハラオウンへリミッター解除の申請をした上で、自ら戦場へと赴いた。

 解除されたリミッターは──── 3ランク。それでも、Sランク魔導師としての力を発揮したはやての砲撃から、ガジェット如きが逃れる術など無かった。放たれた閃光は一群、また一群と次々にガジェットの編隊を飲み込んでいく。

 超長距離砲撃魔法である、『フレースヴェルグ』はユニゾン無しではコントロールが困難だ。その為、はやてのデバイスである『シュベルトクロイツ』と、六課オペレーターの補助が必須である。その関係もある為に、六課司令室に於いて砲撃の樣子をモニタリングしていたのだが──── その樣子を彼女達も食い入るように見ていた。





「凄いわね……」

 本当に陳腐だが、凄いという感想しか出てこなかった。

「ガジェットの編隊が、あっという間に消えていくよ……」

「標的に着弾すると周囲を巻き込んで炸裂するのか……殲滅魔法よね」

 凄いなんてものじゃない。この時、あたしは隊長陣のリミッターというものを真に理解した。

「八神部隊長のどうや見たか、みたいな顔が目に浮かぶようだわ……ちょっとヤな感じ」

「どうして、ティアはそんな事言うの」

『どうやっ。まだまだ、いくで』

「……ティアナとおなじこと言った」

「八神二左って、こんなキャラクターだったかしら……」

 ギンガさんが不思議そうに呟くが、あたし達から見ればいつも通りの八神部隊長だった。

「概ねいつもこんな感じです。どうせ後でシグナム副隊長に怒られるでしょうから。さて、あたし達は目的のレリックを探しましょう。この近くなのよね、キャロ」

「はい。この周辺だと思います」

「それじゃ、手分けして探しましょう」





 荒く息をつく。八神はやては乱れた呼吸を整えるように天を仰いだ。

「空元気は、やっぱり続かんわ。連続は流石にキツいなぁ」

 空を覆う雲は自分の足下にある。視界に入るのは、青の絵の具を溶かし込んだような──── 蒼天。彼女は青を暫く眺めていたが、やがて。まっすぐ前を向き目を細めた。

「泣き言は終わり。実機と幻影の解析が終わるまでの辛抱や。それに部隊長が前線に出たからには、余裕綽々でおらんとな。みんなが不安になってまう」

 実に彼女らしい考え方だった。巫山戯た
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ