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空を駆ける姫御子
第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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な戦闘の中、キャロが注意を促すようにエリオの名を呼んだ。

 キャロの声を聞き取ったエリオは、穿ったガジェットを右足で蹴りつけると、寸時にバックステップする。キャロはエリオが十二分に距離を取ったのを確認すると、フリードへ語りかけるように言葉を紡いだ。

「お願い……フリード」

 キャロの肩にいたフリードは翼を一打ちすると、緩りと飛び上がり──── 轟音と共に炎弾を吐いた。空気をぎしぎしと焦がしながら、炎の弾丸はガジェットの一機へ着弾し周辺を炎の海へと変える。

 後方で仲間の戦いぶりを見ていたアスナは何を思ったのか、水路の壁へ回し蹴りを叩き込んだ。ばらばらと崩れ落ちたコンクリートの壁。アスナは幾つか足下に転がったコンクリート片を拾い上げる。唯のコンクリート片は────マジックキャンセルを付加され、『気』で強化され、アスナの腕力で投擲され──── 砲弾と化した。

 砲弾は炎に包まれていたガジェットのボディを、アルミ缶のように次々と貫いていく。拾っては投げる。アスナは機械的に唯、その動作を繰り返していた。やがて拾い上げるコンクリート片がなくなる頃には、動くガジェットは一機も残っていなかった。

「終わりね」

 ぽかんと、口を開けながらそれを見ていたエリオとキャロを他所に、ティアナが息を吐きながら戦闘の終了を告げる。

「どうしたの、二人とも。アホの子みたいよ。あたしが言うのも変だけど、二人とも随分慣れてきたわね。びっくりしたわ」

 ティアナにそう言われたエリオとキャロは、はにかみながら笑った。

「……私もがんばったから、ほめれ」

 そう言われたティアナはアスナへ微笑みながら、水路の壁を指さす。

「むやみに公共物を壊すな」

「……あれー」

「スバルさん達は大丈夫でしょうか……」

 しゃがみ込んで床にのの字を書き始めたアスナの頭をキャロが撫でている。そんな二人を横目で見ながら、エリオは心配げに眉を寄せた。

「大丈夫よ。ガジェットなんかに後れを取るスバルじゃないわ。何より……ギンガさんが一緒なのよ? そしてアスナが、()()()側に来た。それが理由よ」

 エリオは素直に、凄いと感じていた。あの二人が危機に陥るなど微塵も感じていない自信に満ちた口調。それは信用ではなく、信頼。エリオは左腕に巻かれているリボンにそっと触れる。自分もそんな、『人間』になりたい。そう、だから──── まっすぐ前を向いて歩こう。

「ほら、帰ってきたわよ」

 ティアナの言葉に促され、その方向へ顔を向けるとスバルが手を振りながら歩いてきている。二人とも無事などころか、息一つ切らしていないようだった。

「ね? 大丈夫だったでしょ。こっちよりも大変そうなのは」

 ティアナ
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