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空を駆ける姫御子
第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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構える。やがて濛々と立ちこめる粉塵の中からバリアジャケットに身を包んだ一人の少女が、ゆらりと姿を現した。

「ギン姉っ」

「久しぶりね、スバル、ティアナ。そして────」

 少女はアスナを見据えると、瞳を鋭く細めた。

「アスナ。……勝負よ」

「始まっちゃった……」

「え、えと。ギ、ギン姉? 今は任務中だから……」

「そうだったわ。ごめんなさい。後で勝負よ」

「……いらないから、かえれよ」

「相変わらず、手厳しいわね。だけどそこがいい」

「あの、ティアさん?」

「はぁ……訓練校にいたときにね。ギンガさんが、スバルの様子を見に来たことがあったのよ。その時にギンガさんとアスナが模擬戦やることになっちゃって」

「あ。もう何となくわかりました」

「あの時の私は、井の中の蛙だったわ……」

「語り出しちゃったわよ。何とかしなさい、スバル」

「どうしろって言うのさ……」

「模擬戦開始の合図と共に、私はダンプカーに直撃されたような衝撃と一緒に空を舞ったわ……木の葉のように」

「木の葉……」

 それは随分前の話であった。恐らくギンガにも油断があったのが原因なのだろう。当時忙しい職務の合間を見ては、ギンガや二人の父親であるゲンヤ・ナカジマが訓練校へ顔を出していた。だが、その日はタイミングも悪く桐生も訓練校を訪れていた。結果的にいつも以上に気合いを入れたアスナの攻撃を、ギンガは出会い頭にまともに食らってしまったのだ。

「その時に私は悟ったの……アスナこそ、私のライバルに相応しいわ」

「……はげしく迷惑です」

 それ以来、ギンガはアスナに対してライバル宣言をして今日に至っている。やはり姉妹は似るものだとティアナは思ったものだ。アスナもギンガを嫌っているわけではないが、会う度に勝負を挑まれるので、必然的に口をひん曲げていた。

「っと、切り替えなきゃね。ここまでのガジェットは粗方片付けてきたわ。一緒にケースを探しましょう。場所の特定は?」

 ギンガの言葉を聞いたキャロが一歩前へ出る。

「はい、先ほど反応を確認しました。ここから……二百メートル前後先です」

「了解。それじゃ……」

 ギンガの言葉を遮ったのは──── キャロのケリュケイオンと、ボブの声だった。

『アスナ、来たよ。例のオモチャだ。前方から五機』

『動体反応確認。ガジェットドローンです。後方から八機』

 スバルのマッハキャリバーが火花を散らし、ギンガのブリッツキャリバーが唸りを上げる。前方のガジェットを叩く為に、二人が飛び出した。スバルは飛び出す直前にアスナと視線を交わしていた。それだけで理解したのかアスナは少しだけ頷くと、足下のコンクリートを削り取りながら、
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