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空を駆ける姫御子
第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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。その代わりエリオが割を食ってしまったが、男は女に振り回される運命なのよ、諦めなさい。

「さぁ、みんな行くわよ。Engage(作戦開始)!」





「制服が似合いませんね」

「妻にも言われましたが……面と向かって言われると、ヤな感じですね」

 聖王教会、応接室。華美というわけでもなく、かといって質素というわけでもない、その部屋に男女がいた。男性はおろし立てのスーツのような管理局の制服に身を包み、ティーカップに口をつけていた。一見すると優男に見える顔立ちではあるが、その瞳には強い意志が感じられる。苦笑いを浮かべながら紅茶を飲む男性を見ながら、女性は然もおかしそうにくすくすと忍び笑いを零した。

「そんなに似合いませんか……」

「いいえ。少し悪戯心が涌いただけです。いつものバリアジャケットと同じくらい似合っていますよ。クロノ提督」

「はぁ……ありがとうございます、騎士カリム」

 少々情けない表情を浮かべながら、クロノ提督と呼ばれた男性は暫し物思いにふける。自分の対面にいる女性──── 騎士カリムという女性は、これほど悪戯好きな女性だっただろうか。聡明で美しい女性という印象が強いが、今の彼女はまるで少女のように笑っている。

「何か、良いことでもありましたか」

 友人知人から、『朴念仁』と呼ばれ、女性の機微に疎い彼は酷く無難な問いかけをした。

「いいこと……そうですね。新しい友人が出来ました。友人のような妹のような、とても楽しい娘。時々遊びに来て話し相手になってくれます。クロノ提督も恐らくご存じですよ」

「僕も知っている……六課の人間ですか」

「はい、桐生アスナ。新しく知り合った、『騎士』」

 その名を聞いてクロノは得心がいった表情を浮かべた。

「あぁ、フェイトやはやてから聞いています。その……少々変わっているとか」

 僅かばかり口籠もったクロノにカリムは益々、笑みを深くした。

「そうですね……世間一般から見ると彼女は変わっているんでしょう。ですが、はやてが言っていました。彼女と触れ合った人間は少なからず影響を受ける、だそうです。もしクロノ提督から見て私が変わったように見えたなら……それはきっと、彼女の御陰かも知れません」

「なるほど……機会があれば僕も一度会ってみたいですね」

「あら。浮気ですか? 奥様に報告しなければいけませんね」

「勘弁してください……」

 クロノは項垂れながら力なく肩を落とす。やはり彼女は──── 変わった。恐らくは良い方向に。

「楽しそうですね」

 クロノが何か反撃の糸口を模索している時に、シャッハに伴われながらシグナムが応接室へ入室してきた。クロノはこれ幸いとばかりに話題を変えるように口を開く
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