第二十一話 〜休日と嫌な予感 後編【暁 Ver】
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、あたし達はもしかしたらとんでもない『爆弾』を抱えたんじゃないだろうか。……嫌な予感が収まらない。あたしはそれを誰にも悟られないように立ち上がる。
「こっちね。アスナとスバルが先頭。真ん中をエリオとキャロ。あたしが殿を受け持つわ」
こうして皆に指示を出していると、ミッドでの初任務を思い出す。あの時との違いは──── エリオとキャロの左腕には真紅のリボンが揺れていた。
あたしが受け取った荷物には、五本の真新しい赤いリボンが入っていた。そう、謎の人物である『John』氏からの贈り物だ。あたしが真っ先に連絡を取ったのは『彼女』だったが、知らないと言う。お兄さんかとも思ったが、そんな事をする理由がない。あたし達がリボンを使っているのを知っているのは、訓練校時代の関係者。だが、幾ら考えても該当する名前が思い出せなかった。
結局、喉に魚の骨が刺さったままのような思いだったが、有り難く使わせて貰うことになった。エリオとキャロの希望もあり、シャーリーさんに無理を言って、彼らのバリアジャケットに組み込んで貰った。唯のリボンだ。インチキ臭いパワーで強くなれるわけでもないし、隠された未知の力がピンチに解放されて、獅子奮迅の活躍が出来るわけでもない。
だけど……仲間との一体感や信頼。そして──── 絆。これらは、きっと必要なことだ。あたしは訓練校でそれを学び、今実践している。一人で出来ることには限界がある。あたし達の中で無類の強さを見せるアスナでさえ、隊長陣に囲まれたら勝ちを拾うのは難しいだろう。あたしはそんな事を想いながら、先ほどから案山子のように突っ立ったまま、微動だにしないアスナを見る。
アスナはあたしの視線に気付いたのか、面倒臭げに首だけをこちらへ向けると、ちょっとした爆弾を投下した。
「……さっき、ティアナがしゃがんだとき」
「うん」
「……エリオがスカートの中を凝視してた」
「してませんっ」
「別に構わないわよ。バリアジャケットの一部だし。後ろからスカートをめくり上げて、あたしのお尻に「おはよう」って挨拶する、スバルよりマシよ」
「……ドン引きですね」
「なんだよぅ。ティアのお尻はこう、ラインが」
「そういうお話は、僕がいない時にしてくださいっ」
最近アスナはエリオを弄ると面白いと言うことに気が付いてしまった。エリオも年頃の少年らしくむきになって怒るものだから、却ってアスナが喜ぶという悪循環だ。エリオは『スルー』という技術を学んだ方が良い。だけどアスナの場合、完全に無視してしまうとへそを曲げてしまうので、さじ加減が難しいのだけれど。
さて、良い感じに緊張もほぐれたようだ。先ほどまで心配げな表情を浮かべていたキャロも、今はお日様のように笑っている。アスナには感謝だ
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