第18話「京都―決戦C」
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イトや宿儺の動きなど警戒するに値しないかのように無造作な動きだった。
フェイトの横を素通りし、宿儺を通り過ぎようとして、だがそれは敵わなかった。
「ふむ、ここを通りたくば拙者を倒してからだ」
「……貴様如きが」
つまらなそうに、そして不愉快そうに吐き捨てた真祖の吸血鬼が戦闘態勢に移る。
「ふむ、面白い、面白いぞ、娘!!」
叩きつけられた殺気に、子供のような純粋な顔で笑う。
「一瞬でケリをつけてやる!」
そのエヴァンジェリンんの言葉を皮切りに、両者が弾かれたように動き出す。
宿儺の爆発的な脚力に大地が抉れ、いくらかの土が倒れたままのタケルに降りかかる。全く反応のできていない彼女に、一瞬で肉薄した宿儺の斬撃が振り下ろされ、その瞬間に彼女自身が幾多もの蝙蝠と化して姿が消えた。当然、刃は空を斬り、当たったと確信していた宿儺はその光景に戸惑いを覚え、僅かに動きが硬直した。
そして、気付けば背後に転移していたエヴァンジェリンが腕に魔法力を宿らせ、振りかぶっていた。
「む、ぐう!」
どうにか一本の腕でそれの直撃を防いだ宿儺だったが、その余波に吹き飛ばされ、フェイトを飛び越え、そのまま池に着水した。
「……っち、なかなかにしぶといな」
今の一撃で決めるつもりだったのか、不満げに唇を尖らせる彼女にフェイトは「やれやれ」と呟く。
「エヴァンジェリン・AK・マクダウェル」
「む、何だ貴様も消されたいのか?」
今更ながらに思い出したような彼女の言葉には答えず、言う。
「両面宿儺は僕が止めておく。君は早く大和猛を連れ出して、近衛木乃香に治癒させたほうが良い」
「……何?」
「でないと間に合わなくなる」
それだけ呟き、エヴァンジェリンの反応を待たず、駆け出す。
「おい、待て貴様!」
「ヴィシュ・タル リ・シュタル・ヴァンゲイト」
既に呪文を整えだしているフェイトがそれに答えるはずもない。ブツブツ呟き、その詠唱がおわるとほぼ同時。
「ふははは、まだまだだぁ!!」
水面から飛び出してきた宿儺に「石化の邪眼」
フェイトが対象を石化させる高等魔法を発動した。指先から放たれた光線が宿儺に一直線に向かう。
「ふむ、次はお主か!」
負けじと弓矢を番え、放つ。
魔法と光の矢がぶつかり、激しく振動を打ち鳴らす。
大きな光が弾け、そして全ての目を焼き尽くした。
其は信じられない思いで目の前の少年を見つめていた。
せめぎあっていた矢と魔法は、確かに矢が打ち勝ち、小さな彼を貫いたように見えたのだ。
だが、貫かれたそれはすぐに水のように溶けて落ち、また現れたときには別人の如き威圧感
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