第18話「京都―決戦C」
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りと片をつけたはずのリョウメンスクナノカミの気配を感じたのだ。
――気のせいか? それとも魔法力の残骸が……?
確かに、気配はほんの一瞬。おそらく彼女でなければ気付くことのできないほどの僅かな間だろう。
そのまま、勘違いだと切り捨てることも出来るほどのものだった。
だが、何百年もの間、命を狙われ続けてきたことにより得た勘が告げていた。
間違いなくリョウメンスクナノカミだと。
一瞬だが、膨大な殺気。それに加えて以前よりも明らかに明確で指向性を持った、よくも悪くも意思のある気配。
「……何が起こっている?」
今の彼女は、一時的にだが呪いの枷がなくなっている状況だ。
……理由は原作でどうぞ。
とにかく、何者にも縛られない彼女は最強の存在に近い。転移魔法を使えば、気配のあった位置にまで一瞬で行くことが出来る。
少しだけ考えて、面白そうだと考えたのか、足を止めて茶々丸に言う。
「茶々丸、先に休んでいいぞ」
「……マスターは?」
常に忠実な従者の言葉に、真祖の吸血鬼は唇の端をゆがめた。
「少し遊んでくる」
「……なに!?」
突如、背後から大きな石の槍が両面宿儺に襲い掛かった。背後にも顔があったため、それは避けられてしまったが、石の槍を放った本人―フェイトは全く気にした様子もなく、佇んでいる。
「やれやれ、少しだけ気配がしたから、転移魔法で戻ってきてみたけど」
――まさかこんなことになっているとは、ね。
呟き、ほとんど死体にしか見えないタケルの姿に眉をひそめた。
「君はリョウメンスクナノカミ……というよりは両面宿儺と言ったほうが正しいのかな?」
「ふむ、隙に呼んでもらって結構」
面白そうな獲物をまた見つけた、と身構える宿儺に対し、フェイトは何の反応も見せない。
「そこで斃れているタケルには、まだ生きていてもらわないと困るんだ。僕は今の君が何をしようと興味がないし、どうだろう取引をしないか?」
「……取引とな?」
「タケルの治療をさせてもらいたい。その代わり、君をこのまま見逃してあげるから」
宿儺が考えるように目を閉じ、少しの沈黙が流れ、そして目を開けて、答えた。
「……拙者、最早大和猛の命には興味がない」
「じゃあ、そこを通して――」
「――だが!」
フェイトの言葉は遮られ、宙に舞う。
「拙者、お主と戦いたくて仕方がない。宿主も大和猛に止めを刺せと煩くてかなわん。よって――」
――ここを通すわけにはいかん。
足を大地に揺るがせ、既に残り2本となった腕で剣を構える。その威風堂々たる姿に、フェイトは無表情に、だが困ったようにため息を吐いた。
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