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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百二十話:ケジメを付けるということ
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た。止める者もおらず、息の根を止めておったやも知れませぬ。お互い様でありましょう」
「……そうか」

 ……え?
 どっちかしかいなかったら、確実に殺りにいってたの?
 その時にはたぶん私が止めに入っただろうけど、それはそれで火に油を注ぎそうというか。

 ……とにかく、一人じゃなく二人いてくれて、良かった!
 まだ、良かった!!

 呆然と立ち尽くした状態から気を取り直して、ヘンリーに駆け寄ります。

「……ヘンリー」

 近くに寄って顔を見上げると、気まずそうに目を逸らされます。

「……すまん」

 ……ヘンリーの怒りが気になり過ぎて、あんまり気にならなかったけど。

 思い出してみたらやっぱり気持ち悪かったし、魔物をけしかけた疑いを持たれてるとしてもあそこまで言われる筋合いは無かったし。
 モモを悪く言った相手に対して、私もかなり怒ってたことは間違いないわけで。
 ヘンリーも同じように、私のために怒ってくれたわけだから。

 やり過ぎだったかもしれないけど、それでも私に謝らなくてもいいのに。

「ううん。……ごめんね」

 私のために、あんなことさせちゃって、ごめん。

「謝るなよ。お前は悪くない」
「だけど、私のために」
「お前は、悪くない。だから、謝るな」

 私のわがままに付き合わせたせいで、嫌な思いも、嫌なこともさせちゃったのに。

 だから、やっぱり私は謝りたいんだけど。
 私のために怒ってくれたヘンリーが、そう言ってくれるなら。

「……うん。……ありがとう」

 私のために、怒ってくれてありがとう。

「ああ」

 謝るのをやめてお礼を言った私に、ヘンリーも逸らしてた視線を戻して微笑みます。

 ……ところで。

「……この人。……治さないと」
「やめろ。近寄るな。放っとけ」

 倒れ伏す理不尽お兄さんに向かって歩き出そうとしたところで、すかさずヘンリーに抱き締められて止められます。

 うん、私もできれば、近寄りたくは無いんだけど。

「……だけど。……死んじゃうかもしれないし」
「それなら、それでもいいだろ」

 おいおい。

「……いや、ダメでしょ、さすがに。ヘンリーが殺したことになるじゃない、それじゃ」
「……」

 ……それでもいいと思ってそうだ。

 ……それほど、怒ってくれたってことだろうけど!
 でも最低限、手放しちゃいけない人としての良識ってあると思う!
 相手のそれには多大なる疑いの余地があるけれども、それでも殺されて当然というほどのことはされてないんだから!
 かなり悪質なセクハラ親父みたいだったけど、でも無理矢理事に及ぶほどの度胸も力も、きっと無いんだから!

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