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ドラクエX主人公に転生したのでモテモテ☆イケメンライフを満喫できるかと思ったら女でした。中の人?女ですが、なにか?
二部:絶世傾世イケメン美女青年期
百二十話:ケジメを付けるということ
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 理不尽お兄さんもこの間は威圧されてあっさり腰抜かしてた癖に、私を眺め回すのに夢中で全然気付いてないみたいだし。

 自分の命が風前の灯火であることにも気付かずに、ニヤニヤと気持ち悪い笑いを浮かべた理不尽お兄さんが、ジリジリとにじり寄ってきます。

「どうだ?オラとも、一晩付き合わねえだか?どうせ、好き者なんだべ?悪女でもいい女だ、オラとしても願ったりだ。一晩中、じっくり楽しませてやるだから」

 目の前の男の気持ち悪さよりも、隣の人の怒りが気になって仕方なかった私が、プチッと何かが切れる音を聞いたような気がしたところで。

「……すまん、ドーラ。俺は、もう無理だ」
「ヘンリー!!」

 宣言して動き出すヘンリーを咄嗟に押さえようとしますが、その前に私が背後からピエールに腕を押さえられ、何の妨害も受けずに飛び出したヘンリーが理不尽お兄さんに殴りかかって殴り飛ばし、悲鳴を上げる理不尽お兄さんに追い縋ってさらに殴り続けます。

 ……ちょ、これは!
 本気で殴ったらきっと一撃で死ねるから、たぶん手加減はしてるんだろうけど!
 でも加減しても、そんなに殴ったら死んじゃう!!

「ピエール!!離して!!」

 もがく私を、あくまで冷静さを崩さないピエールが、痛みも感じさせずに抑え込みながら答えます。

「ドーラ様、こればかりは。拙者とて、ヘンリー殿に加勢致したいところ。ドーラ様を巻き込まぬよう、抑えておるに過ぎませぬ」
「だけど!!このままじゃ、ヘンリーが!!」

 ……殺人犯になってしまいます!!
 それも、私のせいで!!

「殺す前には、お止め致します。拙者とて、あの程度の者のためにヘンリー殿のお手を汚させるのは本意ではありませぬ。死ぬより恐ろしい目というのも世の中にはありますゆえ、殺す必要も無いでしょう」

 ……なんか、恐ろしいこと言ってるんですけど!!

 これは殺人事件に発展しないであろうことを喜ぶべきなのか、ギリギリまで止めさせてもらえないだろうことに戦慄するべきなのか。

 為す術も無く呆然と事態を眺める私の前で、ボコられて叫び続けていた理不尽お兄さんの悲鳴が止み。

 ピエールがすかさず私から離れて、ヘンリーを止めに入ります。
 拘束から解放されてもまだ呆然としている私は、ただ見ていただけですが。

「ヘンリー殿、その辺りで」
「……こんな奴!!もう、殺しても」

 激情が収まらない様子のヘンリーが暴れるのも、ピエールはきっちり抑え込んで。

「ドーラ様が嘆かれます。ヘンリー殿が、そのような形でお手を汚されては」

 冷静に語りかけられて、ヘンリーが動きを止めます。

「…………そうだな。すまん」
「なんの。ヘンリー殿がされねば、拙者がそうしておりまし
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