暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
最後のチュートリアル
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そんなことを考えていると、血の色に染まった空から、厳かとすら言える声が降り注いだ。

『諸君は今、なぜ、と思っているだろう。なぜ私は──SAO及びナーヴギア開発者の茅場晶彦はこんなことをしたのか?これは大規模なテロなのか?あるいは身代金目的の誘拐事件なのか?と』

そこで初めて、これまで一切の感情をうかがわせなかった茅場の声が、ある種の色合いを帯びた。レンはふと、場違いにも《憧憬》というような言葉を思い浮かべてしまった。そんなはずはないのに。

『私の目的は、そのどちらでもない。それどころか、今の私は、すでに一切の目的も、理由も持たない。なぜなら………この状況こそが、私にとっての最終的な目的だからだ。この世界を創り出し、観賞するためにのみ私はナーヴギアを、SAOを造った。そして今、全ては達成せしめられた』

短い間に続いて、無機質さを取り戻した茅場の声が響いた。

『………以上で、《ソードアート・オンライン》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の──健闘を祈る』

最後の一言が、わずかな残響を引き、消えた。

深紅の巨大な赤ローブ姿が音もなく上昇し、フードの先端から空を埋めるシステムメッセージに溶け込むように同化していく。

肩が、胸が、そして両手と足が血の色の水面に沈み、最後にひとつだけ波紋が広がった。直後、天空一面に並ぶメッセージもまた、現れた時と同じように唐突に消滅した。

広場の上空を吹き過ぎる風鳴り、NPC(ノンプレイヤーキャラクター)の楽団が演奏する市街地のBGMが遠くから近づいてきて、穏やかに聴覚を揺らした。

ゲームは再び本来の姿を取り戻していた。幾つかのルールだけが、以前とはどうしようもなく異なっていたが。

そして──この時点に至って、ようやく。

一万のプレイヤー集団が、然るべき反応を見せた。

「嘘だろ…………なんだよこれ、嘘だろ!」

「ふざけるなよ!出せ!ここから出せよ!」

「こんなの困る!このあと約束があるのよ!」

「嫌ああ!帰して!帰してよおおお!」

悲鳴、怒号、絶叫、罵声、懇願、そして咆哮。

たった数十分でゲームプレイヤーから囚人へと変えられてしまった人間たちは、頭を抱えてうずくまり、両手を突き上げ、抱き合い、あるいは罵り合った。

自分より明らかに年上の人々の叫び声を聞いているうちに、レンは不思議と落ち着いていることを感じていた。

そして心の底から、ある一つの言葉が浮かんできた。

──面白い──

唇の端が、こらえようもなく歪む。

それが形作ったのは───笑み。

だが、そんな笑みも背後からかけられた声によって凍りつく。

「──蓮?蓮なの?」

かなり、というか、もう当たり前のよ
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