第七十七話 決意を新たに
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れない。それが間違っているものだって気付かされて、その時になっても俺は自分の立場に固執しちまう。そんな器の小さい人間なんだよ」
「え、そんなことないって」
意外な言葉を聞いたようにシンはハイネに対して驚愕を露わにする。
だが事実、前大戦のヤキン・ドゥーエでの戦いの際、結局ハイネの立場はザフトの一パイロットに過ぎなかった。核を撃ってきた連合は非道の輩だと思うだけで自分たちの方が何をしていたかについてなんて頭の中から排除していた。
ジェネシスを撃った時の様子は今でも脳裏に焼き付いている。アレを行ったのは自分たちだ。だが、そうしなければ戦争を終わらせる事なんてできなかった。そう今でも自分で自己の正当化を図る言い訳をしているのだ。
「そう思うなら、きっと格好つけて誤魔化してるからさ。他人に否定されるのが怖いからな、俺は」
アスランとハイネはそういう所で違う。アスランは自分に常に問いかけているのだ。正しいのか間違っているのかを。だが、ハイネはそれをしない。自分たちが間違っているなんて思いたくないから。戦争なんだと上からの命令だと自分に言い聞かせ、だから戦い続ける。ハイネにとって割り切れという言葉はある意味そういう事でもあるのだ。
けど、何も自分以外の誰かがそうであるという理由になって良いわけではない。だから、ハイネはシンに対して自分が出来ない事を託すように言う。
「どんな道を選んだにしても、それはお前自身が考えたうえで出した結果だ。誰も否定される言われはないっつたら嘘になるが……お前自身が選んだ道をお前が否定しちまえば何のために戦ったのかが分からなくなる。ありきたりな言い方しか出来ねえが、お前も――――自分が今、後悔しない道を選べよ」
「――――そうだよな……ありがとう、ハイネ。少しだけすっきりした」
(狡い奴だよな……俺は)
自分が出来ない事をさも出来るかのように他の人にはやれるだろといって押し付ける。あまりにも卑怯だ。悪人だと罵られても仕方がない。何より、そんな風に自嘲ぎみに自責の念に駆られて自分の罪を誤魔化していることが許せない。
(それが分かってても何一つ自分からは行動しないんだけどな……)
そんな事を考えながらも裏切ることも変えようとすることもしないハイネはシンとしばらく話した後で部屋に戻っていくのだった。
◇
『どういうことだ?』
「……一応何がとは聞いておく」
『惚けるな!軍から排斥されそうになっているとはどういうことだと聞いている!!』
ミネルバの通信室の一室にてアスランはジュール隊の旗艦ボルテールにいたイザークと通信していた。そして、案の定イザークはアスランを怒鳴りつけていた。
『いったい何をしたら貴様はそう何度も軍から追われそうにな
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