第五十九話 三人の戦いその九
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「戦うよ。けれどね」
「やっぱり戦いをよね」
「こんなの間違ってるよ」
この考えを言ったのである。
「どう考えてもね、この戦いは」
「誰かを倒して自分だけ生き残った人が願いを適えるのは」
「そんなのあれじゃない。欲と欲のぶつかり合いじゃない」
「そうなるわよね」
「人間の社会ってそうかも知れないけれど」
上城も人間の欲望は否定出来ない、彼にしても様々な欲がある。
だから剣士同士の戦いが人間社会の一部であることも否定出来なかった、だがそれでもだというのである。
「けれどそれは」
「何かが違うわよね」
「人間は確かに欲、願いがある生き物だけれど」
ここでは欲と願いは同じ意味だった。もっと言えば夢もそうであるしひいては呪いも同じものであるかも知れない。
「それでもね」
「人間って悪い部分があってもね」
「いい部分もあるから」
二面性、まさにその話だった。
「僕はそうした欲と欲のぶつかり合いで人が殺し合うのは」
「反対よね」
「だからこの戦いを終わらせたいんだ」
その為に剣を持ち大石達とも共闘しているというのだ。
「そしてその為にはね」
「日曜よね」
「夜の十二時だよ」
まさにその時にだというのだ。
「八条学園の総合グラウンドに集まってね」
「一人になるまで戦うのね」
「僕も中田さんも」
彼の名も挙げる。
「勿論他の人達もね」
「十二人の人達が」
「もう一人いるらしいけれど」
剣士の数は十三人だ、それなら当然として出される数だ。
「その人ともね」
「戦うことになるのね」
「最後に生き残った人がね」
「それで願いを適えるのね」
「僕の願いは決まってるから」
「この戦いを終わらせることよね」
「うん」
樹里の、彼から見て後ろのベンチに座っている彼女のその言葉にこくりと頷いて返す。その通りなのだ。
「そうだよ」
「戦ってそして」
「戦いを終わらせるよ」
本末転倒と捉えれてもおかしくない言葉だ、だがだった。
上城は樹里に背中を向けて空を見上げたままこうも言った。
「それが僕の願いだから。
「わかったわ。けれどその時でもね」
樹里は中田の言葉を受けてから彼に言った。
「剣士の人は倒しても」
「命は、だよね」
「それはよね」
「僕の剣道は活人剣だから」
子供の頃からそう教えられて励んできた、だからだというのだ。
「人を傷付けるものではないよ」
「だからよね」
「そう、命は奪わないよ」
決してだというのだ。
「何があってもね」
「そうしてね、本当に」
「うん。そしてだけれど」
上城はさらに話す。
「大石さん達とお話したんだけれど」
「もうしたの」
「スカイプでね。昨日の夜にね」
パソコンを使ってそれでだというの
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