第126話
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「俺はあの二人を止める!
だから、お前は」
その後に言葉が続かなかった。
何故なら、ナタリアが上条の所まで詰め寄り、右手で上条の首を掴んでいるからだ。
片手で上条を持ち上げ、軽く首を絞めていく。
ナタリア自身、それほど力は入れていないのだが、上条からすれば縄で首を強く絞められているようだ。
ナタリアはゆっくりと上条の首筋に口を近づけていく。
その時、麻生が吹き飛ばれてた壁の中からドン!!、という音が聞こえた。
粉塵の中から麻生が出てくると、上条の首を絞めているナタリアの腕を手に持っている剣で斬り裂く。
「があああああああああ!!!!!」
叫び声をあげながら、後ろに跳んで距離を取る。
上条は咳き込みながら、大きく呼吸をする。
首を掴んでいた腕は切断されると、塵になって消滅した。
「おい、当麻。
どうして、右手を使わなかった。」
麻生の問いかけに上条は何も答えない。
元人間だとしても、あの身体は異能の塊だ。
上条の右手で触れれば、塵になって消滅する。
だが、上条はそれが分かっていながらも右手を使う事ができなかった。
「お前、もしかして自分の血を吸わせて、ナタリアを正気に戻そうとしたのか?」
上条の沈黙を麻生は肯定と捉え、ため息を吐くと上条の胸ぐらを掴み、能力の加護がかかった右手で上条の顔を思いっきり殴りつけた。
「お前、自分がどんなに馬鹿な事をしようとしていたのか分かっているのか!?
お前が此処で犠牲になっても、あの二人は正気に戻らないし、無駄死にするだけだ!
万が一、正気に戻ってもすぐに吸血衝動に飲み込まれる!」
上条の口端から血が流れる。
頬は大きく腫れ上がっている。
麻生は言葉を続ける。
「お前が犠牲になったら、インデックスはどうなる!!」
「ッ!?」
それを聞いた上条はゆっくりと、後ろに立っているインデックスに視線を向ける。
インデックスは目の端に涙を溜めていた。
おそらく、上条が死ぬかもしれないと思っていたのだろう。
手には、拳ほどの石が握られていた。
それで何をするつもりなのか、上条は見ただけで分かった。
「お前のそれは正義でも偽善でも何でもない。
ただの自己満足だ。
その自己満足のせいでお前は確実に、一人の少女を悲しませる事になるんだぞ。
お前が犠牲になった所で誰も助けられない、逆に一人の人間を不幸にするだけだ。」
もう一度、胸ぐらを掴みながら言う。
「これだけ言って、これだけのモノを見てまだお前がそんなくだらない幻想を抱えているのなら。
俺がその幻想をぶち殺してやる。」
麻生のその言葉が上条の胸に強く響いた。
さっき殴られた頬の痛みより、数倍の痛みが上条の胸から感じた。
胸ぐらを掴
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