第四十七話 運動会が終わってその十二
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「他にな」
「一家にもなってるわよね」
「何を考えているのだろうな」
こうまで言う父だった。
「本当にな」
「知事さんが決めたのよね」
「お父さんが奈良県民なら絶対に反対していた」
断固だというのだ。
「そうしていたな」
「そうよね、やっぱり」
「あんなのマスコットに出来るものか」
自分のいる都道府県、そこのだというのだ。
「何を考えてあんなのにしたんだ」
「普通はそうよね」
「可愛くない、というか気持ち悪い」
実によく言われている評価である、巷で。
「平城京遷都千三百年記念だとのことだが」
「忘れられない記念にしたかったのかしら」
「それならもっとましなマスコットがあっただろう」
よりによって、というのだ。
「あんなものはないだろう」
「ううん、皆そう言うわね」
「あれは妖怪だ」
外見がそれにしか見えないというのだ。
「気持ち悪いにも程がある」
「私兵庫県民でよかったわ」
「お父さんもそう思う、本当にあれは酷い」
一目見て誰もが可愛くないだの気持ち悪いだの言った程だ、とにかく酷いマスコットであるというのである。
それでだ、父は言うのだった。
「あの知事さんのセンスだろうな」
「悪意じゃないのね、嫌がらせとか」
「流石にそれはないだろう」
幾ら何でもだというのだ、この知事の政策は少なくとも理に適っている部分も多く県のことを考えていることも確かなのだ。
だから悪意はないだろうという、だが。
「利権があったとも言われているが」
「それを抜いてもよね」
「利権絡みでも普通はましなイラストレーターを選ぶ」
ゆるキャラマスコットに会った、というのだ。
「やはりセンスだな」
「嫌なセンスね」
「八条グループにもゆるキャラマスコットは多いがな」
この父も八条グループの社員だ、それで言うのだ。
「どれもあんなのはないからな」
「皆可愛いわよね」
「ああ、そもそもゆるキャラは可愛いものだろ」
ゆる可愛くてこそだ、彦根市のマスコットにしても船橋市の非公認マスコットにしてもこのことは守られている、だがなのだ。
それでもだ、奈良県のマスコットだけは。
「挙句には定着したからな」
「奈良県公認よね」
「ああ、そうなった」
目出度くと言うべきか不幸にしてと言うべきか。
「完全にな」
「奈良県の人にとっては災難ね」
「千三百年が終わればお別れだと思っていればな」
これがだというのだ。
「あっさりとな」
「残ってなのね」
「ああ、そうだよ」
それでだというのだ。
「今に至るからな」
「嫌な話ね」
「全くだ、まあとにかくお化け屋敷はな」
その話に戻る、父は琴乃にあらためてお化け屋敷のことを話す。そのうえでこう彼に対してこう言うのだっ
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