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神葬世界×ゴスペル・デイ
第一物語・後半-日来独立編-
第五十八章 解放《3》
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に」
「……奏鳴……」
「吐き気がした。肉を飲み込んでしまった時は。化け物だと言われても仕方無いくらいに血もすすったりした。まるで家族を自分のなかに取り込もうとしているようだった。泣きながら血肉を食し、何度も無理に吐いた。嫌だった、化け物のようになるのが。
 抗った。無理にでもな。だけど、殺した最後は思ってしまったよ」
 光が感じられない眼差しをセーランに送った。
 セーランは一度、目を合わせるも、反射的に逸らしてしまった。が、もう一度、目を合わした。
 真実を聞くため。
 しかし、口から出た言葉は一人の少女としてはあまりにも異常な言葉であった。
 本当に化け物だと思ってしまうくらいの。
 たった、その一言は。

「とてもすっきりとした、と」



 後悔では隠し切れない感覚だった。その時、自分は何かが失ってしまった気がした。何かは分からないが、そう感じた。
 きっと人としてのものを失ったのだろうと思い、もう前のような自分ではいられないと思った。
 異常な感覚。
 人を殺し、すっきりしたなどと。
 それは異常な感覚でしかない。
 まさに化け物だ。
「もう手遅れなのかもしれないな。人の形をした化け物なんだ、私は」
 悲しむように、後につれ声は小さいものだった。
 確信したような言葉を言うが、本人はまだ受け入れ難かった。だが現実は常に目の前にある。
 避けようとも避けられない、確かな事実。だとしても。
「ならそんな化け物に惚れたのは間違いだってか?」
 セーランが言った。
 苦し紛れとも言える言葉であったものの、間違いなくセーランが口に出した言葉だ。
 幾ら奏鳴が自分自身を批難しても、寸分も奏鳴に対するセーランの想いは変わらなかった。
「俺には家族を裂いたことも食ったことも経験無いから全て解らない。でもさ、別に殺人者でも化け物でも、俺は奏鳴と一緒にいたい」
「何故そこまで、私を好きでいてくれる。ただ一目惚れしただけだろうに」
 顔を横に振り、何も言わずに否定した。
「ただの一目惚れじゃないんだ」
「何か特別な理由があるのか……?」
「おうよ」
 気になった。
 話しががらりと変わった気がするが、なんだろう。話すよりも、彼の話しを聞いている方が楽な感じがする。
 耳を傾ける奏鳴に向かって、極自然にセーランは理由を言う。
「身体のラインが俺好みだったからさ!」
 途端に辰ノ大花が静まり返った。
 この会話は結界の外に表示された映画面|《モニター》から、別の映画面に流れている。そのため、多くの者達がこれを聞いたということだ。
 妙な空気は一瞬だけだったが、皆頭のなかで事態の整理を各自行った。
 言われた本人である奏鳴は、自身の身体を守るように腕を身体に巻き付けた。
 羞恥心から頬を
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