XII
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話だ。
大抵が苗字か名前の呼び捨てなのにキーくん。
当事者じゃなければ俺は笑っていると思う。
「それはあれかな、その呼び名が山岸専用だから?」
「あ?」
「先程情があるのは否定しないと言っていたが……そんなレベルではないように見えるからな」
「…………」
何と答えればいいのやら……
「名前の件はそれでチャラにしよう。君が山岸風花に対して抱いている気持ちを教えてくれ」
俺が風花に抱いているのは親愛――――だけではない。
頭が冷えて、分かったことがある。
アイツはきっと――
「日常の象徴、なんだよ」
だからこそ風花の話題が初めて上がった晩、何も言わなかったんだと思う。
だからこそ風花が行方不明になった聞いて、あんな無様を晒したんだと思う。
既知の毒に侵されていなければ歩んでいたはずの日常、アイツはその象徴なんだ。
自ら切り捨てたはずの日常、だと言うのに心のどこかで未だに未練を抱いてる。
自覚してしまうと何とも情けない話だ。
「……我ながら女々しい男だ」
嗚呼――――早く夜になればいいのに。
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