XII
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に関してもそうだ。
情報をさらうだけならば脅す必要はなかった。
二度と風花に関わらないように釘を刺すだけで……何て無様。
俺は俺が思う以上に風花を――――恥ずかしい。
「フッ……分かっているのならば説教をするつもりはないさ」
「そいつはどーも」
ああ、美鶴にも随分と借りが出来てしまった。
ならば――と言うわけではないが、俺も自分のことを話そう。
自己満足でしかないが、そうでもしなきゃケツの座りが悪い。
「よう、折角秘密を暴露してくれたんだ。俺のも聞くかい?」
「聞かせてくれるのならば、な」
「OK。俺が今まで馬鹿をやってた理由――――全部話してやる」
これまでの行動総てを話す気はない。
だが、何を理由にして動いていたか――俺のルーツを明かそう。
「既知感、俺は物心ついた時――十年程前からそれに苛まれている」
「既知感?」
「そ、俗に言うデジャブだ。常時ではないが……割と多い頻度で既知を感じる」
ああ、こんなことを前にもしていたな――と。
「酷えもんだぜ既知ってのは。どんだけ必死ここうとも……ああ、やっぱりかで終わる」
ガッカリとは正にこのことだ。
「だから、俺はそれを打ち破るために道を外れたんだ。総ては既知を超えるため」
「……だからS.E.E.S.への加入を?」
「ああ。こんだけオカルト臭いんだ……ただ単にアウトローやってるよりずっといい」
「それで、既知は超えられたのか?」
言葉には出さず苦笑で答えを返す。
それならば俺はここには居ない、と。
「それが俺の行動原理だ。徹頭徹尾、それだけを念頭に置いて行動してる」
「今回の件もか?」
「……情があるのは否定しないさ。幼馴染で、色々と世話にもなってるからな」
ふと、無言の時間が流れる。
既知について信じているのかいないのか――どちらでもいい。
あくまで自己満足のために明かしたに過ぎないのだから。
「その既知を自覚したのは物心ついた時、十年前と言っていたが……おかしくはないか?」
確かに七歳になるまで物心ついていないと言うのは少しおかしいだろう。
だが、実際にそうなのだ。
いや、正確には――
「俺の記憶は十年前から始まってるんだ。物心ついたって表現もあながち間違いじゃないだろ?」
十年前から記憶が始まっているのだ。
もっと言うならば、年齢さえも確かではない。
養父母らが当時の俺を検査した時に、それぐらいではないかと決めてくれただけ。
「それ以前俺が何をしていたのか――まるで分からない。何せ、戸籍もなかったからな」
怪しいことこの上ない。
間抜けなことに俺はエリザベスに指摘されるまで、そんな怪しい己を知ろうともしな
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