第二十話 〜休日と嫌な予感 前編【暁 Ver】
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やキャロよりも小さい?」
「多分、ですけど」
「そんな……」
スバルが同情するように少女へと視線を向けている。アスナは最初こそ珍獣を見るように少女を見ていたが、やがて興味を失ったのか、今は何もない空間に視線を彷徨わせている。
少女は小さな呻き声を上げると瞼をうっすらと持ち上げたが、また気を失ってしまった。キャロが小さな肩を力なく落とした。
「大丈夫よ、キャロ。なのはさんとフェイトさんが、シャマル先生と一緒にこちらへ向かってるはずだから。レリックの封印処理は大丈夫?」
「はい、大丈夫です。ガジェットが出てくるようなことはないはずです」
「上出来」
それにしても。エリオとキャロよりも小さな、年端もいかない少女がレリックと一緒に、だ。決して楽観的になれる事態じゃない。それどころか、どう考えたって────
──── 嫌な予感しかしませんね
『桐生? 確かに緊急を要する案件ではあるが』
「先ほど彼女が少しだけ目を開けたでしょう? アスナと同じ、『オッドアイ』でした」
『しかし……それどうかしたのかい? 人間では珍しいとは思うが』
桐生は物が雑多に置かれてある作業机から、苦労しながら煙草の箱を探し出すと、しわくちゃになった煙草を一本取り出す。
「赤かったんですよ。左目が」
『益々、わからないよ。フェイト嬢も赤だが』
桐生は取り出した煙草を咥える。ライターの調整がおかしかったのか、思いの外大きな炎に驚きながらも火をつけた。
「ボブ? 赤い瞳など本来は、生物学上あり得ないんですよ。……アルビノ以外は。瞳の赤は血液の色なんです」
『しかし、フェイト嬢はアルビノではないよ』
「ええ、そうですね。だとするならば」
──── 人工的に何らかの手を加えられた、人間の可能性が出てくる。
随分後になってこれが桐生の思い違いであることが判明するが、それを今の桐生は気付かない。桐生は工房に揺蕩う紫煙を眠たげな眼差しで見つめている。彼が、『この世界』にアスナと共に来てから随分と時が経った。その間、色々な出来事があったが、平和に過ごしてきた。桐生が戦うこともなく、アスナも少々斜めではあるが、まっすぐ育ってくれた。それが──── なぜ、今になって。
アスナの為だけに『力』を使うと決めた彼ではあるが、桐生は一度ティアナ・ランスターという少女を助けている。それに今のところ誰にも知られてはいないが、彼の件もあった。それが例えアスナの為であったとしてもだ。管理局に関してもそうだった。アスナが魔導師になる為に、訓練校へ行きたいと言い出した時も、六課から八神はやてが使者として訪れた時も、彼は反対しようと思えば出来
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