第二十話 〜休日と嫌な予感 前編【暁 Ver】
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。ブロンドの綺麗な髪に似つかわしくない薄汚れた姿。そして左腕に纏わりついている鎖に繋がれた金属製のケース。それが、『レリック』である可能性が高いことに逸早く気付いた二人は、緊急事態と判断した。
不安と言う名の暗雲が、心を覆い尽くしていく感覚。キャロはそんな自分を奮い立たせるように……通信機のスクリーンを立ち上げた。
思わず失笑してしまう。白衣の男──── ジェイル・スカリエッティは然もおかしげに肩を揺らしていた。
「ドクター?」
「いや、すまないね。あまりにも愉快だったから我慢しきれなかったよ。どうやら、あれは当たりのようだね、ウーノ」
「恐らく」
ウーノと呼ばれた女性は表情を一切変えることなく淡々と答える。知性的で切れ長な瞳をスカリエッティへ注いでいる姿は、彼を心の底から信奉しているようにも見えた。
「では、回収するとしようか。あれは私の計画には、なくてはならないものだからね。回収は……彼女達に任せるとしようか」
スカリエッティは今日という幸運に巡り合わせてくれた、信じてもいない神に感謝しながら……通信機のスクリーンを立ち上げた。
アスナが先ほどからペットショップのショーウィンドウに貼り付いたまま動こうとしない。どうしたもんかしらね、これ。
「いいじゃん。まだまだ時間は、たっぷりあるんだし」
「まぁ、ね」
とは言え、時間は有限なのだ。いい加減にショーウィンドウから引っぺがそうとあたしが動き出した時。スバルの胸元からあまり聞きたくないコール音。気がつけば、あたしのクロスミラージュからも聞こえている。フラッターからも聞こえているはずだが、アスナは全く意に介していない。
「……なんだろう」
「キャロからの全体通信だから緊急でしょ。さて、何が飛び出すやら」
キャロからの通信を要約すると、だ。エリオとキャロがサードアベニューF23の路地裏で、意識不明の幼女を保護。傍にはレリックと思われる金属ケース付き。指示を請う。ついでに本日の休暇はこれにて終了、以上。案の定、アスナの口がへの字になっていた。
「また、一緒に来てあげるわ。ね?」
「……わかった」
昔と比べて随分と素直になったアスナを見て姉のような気分に浸りつつ、二人を伴いながらエレベーターを目指した。
「キャロっ、エリオっ!」
通信で知らされた路地へ踏みいる。あたし達が見た光景は、ほぼキャロからの通信内容と同じで想像通りのものだった。力なく横たわる少女をエリオが壊れ物でも扱うように支えている。体の所々も汚れていて、ぼろ布一枚羽織っただけの姿は、綺麗なブロンドと相まって、却って痛々しかった。
「もしかして、エリオ
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