キラーパンサーに転生
21(終)あの場所であなたを待つ
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族殺しって、それはやっぱりよくないのかな。
ベビーパンサーも、殺したことはないし。
あっちの場合は弱すぎるし、子供だからっていうのもあるけど。
とりあえず相手の反応を待って、襲われるようなら倒そう、そうしよう。と決めたあたしの前で、キラーパンサーが呟きます。
『……かわいい』
『……え?』
……可愛い、って、言われたような気がするんだけど。
まさかね、そんなね、キラーパンサーがね。
あたしみたいな、元人間ならともかく。
嫌な予感を振り払おうとするあたしにキラーパンサーが一歩近付いてきて、思わず一歩下がります。
『……かわいい。つよい。おんな』
『……』
距離を詰めようとさらに歩み寄ってくるキラーパンサーから、同じだけ離れて距離を保つあたし。
『……おれの、子。……産め!』
『……近寄らないで!!』
目をギラギラさせて誤魔化しようのない言葉を吐いたキラーパンサーを、咄嗟に身構えて威嚇します。
……なにこれ、なにこれ!
確かにあたしは今は、キラーパンサーだけど!
恋愛対象にするなら、たぶんキラーパンサーになるんだろうと思うけど!
でも、男なら誰でもいいってわけじゃないんだから!
こんな、こんな下品で、頭悪そうなの!
いきなり産めとか、言っちゃうようなの!!
ケモノなら普通のことかもしれないけど、でも絶対!!無理!!
あたしが全身から拒絶と嫌悪感と殺気を発するのにキラーパンサーは一瞬怯んだけど、すぐに持ち直してまた近付いてきます。
『かわいい、つよい、おんな。……ぜったい、産ませる!!』
『……!!』
全身を悪寒が駆け抜けて、あたしは決めました。
よし、殺そう。
九年間さんざんレベルを上げてきたあたしに、そこらのただのキラーパンサーが勝てるわけもなくて。
止めを刺す前にヤツは尻尾を巻いて逃げ出して、あたしはひとまず同族殺しを免れました。
……妙な仏心を出さないで、きちんと殺しておけばよかったかな……。
普通のキラーパンサーのメスから見て、あれはどうなんだろう。
キラーパンサーのお母さんって、どんな感じだったかな……。
……ともかく、元人間のあたしが、あんまりキラーパンサーの社会に介入するのもよくないよね。
襲われるたびに殺してたら、オスだけ減って生態系が崩れそうだし。
だからって黙って襲われるなんて冗談じゃないし、また襲われるのも絶対に嫌だし、もうここにくるのはやめよう。
ドーラちゃんに会うまでは。
新天地の開拓に失敗したあたしは、すごすごと東に戻って、また地道に経験値をかせいで。
きっかけは不本意ながらも蘇った感情を、蘇ったぶんだけ辛さと
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