キラーパンサーに転生
21(終)あの場所であなたを待つ
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、特にすることがなくなっちゃって。
きっとこれからが、本当につらい時間なのかもしれない……。
目の前の目的が達成されて、ねぐらにこもって考える時間も多くなって。
考えながらうとうとしてると、夢を見て。
ドーラちゃんと一緒で、明るくてあったかいおうちで、パパさんとサンチョさんもいて、おいしいごはんを食べてお風呂に入って。
柔らかいベッドでドーラちゃんと一緒に眠って、とっても幸せな気分になって。
だけど目を覚ますと暗い穴蔵で、あたしはひとりぼっちで。
ため息をついてねぐらを出ては、食べるための狩りをしたり、経験値をかせぐために戦ったり。
ねぐらに戻ったらなんとなく字を書く練習をして、またうとうとして夢を見て。
そんな毎日を繰り返してるうちに、目を覚ましてがっかりすることにも慣れてきて、段々と感覚が麻痺していった。
あんな幸せな毎日は、本当はなかったのかもしれない。
前世の記憶みたいに、本当のことなのかわからない、あたしがあったと思ってるだけのことかもしれない。
期待してしまうから、つらいけど。
目を逸らしていれば、つらいことにも気づかないから。
はっきり意識してたわけじゃないけど、頭のどこかでそんな風に考えて、また見ないふりをして。
あたしはまた少しずつ、野生に馴染んでいった。
そんな風に過ぎていった、十年目の春。
洞窟の前の木にまた花が咲いて、あたしはまた傷をつける。
傷が、これで十本。
九年経って十年目だから、あと一年弱。
錆び付いた感情はほとんど動かなくても頭でそう考えるあたしは、ほとんどキラーパンサーと言ってもいいくらいに大きくなっていた。
だけど自分では動いてないつもりでも、やっぱり本当は動いてたのかもしれない。
ただ、見ないふりをしてただけで。
本当に動いてなかったら、あんな気まぐれみたいなことはしなかったように思うから。
もう、ほとんどキラーパンサーなんだから。
あと一年しかないのに今さら目立つのもよくないし、今日は少し遠出をしてみよう。
この近くの魔物だけじゃ、もうあまりレベルも上がりそうにないし。
そう考えたあたしは、今まで越えたことのなかったルラフェンの先、さらに西に進んで、あたしの経験値になる魔物を探していた。
そこで初めて、キラーパンサーに会った。
キラーパンサーのお母さんとかまだ子供のベビーパンサーとか、あたし自身を除いて初めての。
『……』
なんて言ったらいいんだろう。
あたしは経験値をかせぎにきたんだから、黙って倒せばいいのかな?
だけど人間と、ドーラちゃんと一緒にいるわけでもないのに同
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