暁 〜小説投稿サイト〜
ドラクエX・ドーラちゃんの外伝
キラーパンサーに転生
21(終)あの場所であなたを待つ
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
、特にすることがなくなっちゃって。
 きっとこれからが、本当につらい時間なのかもしれない……。



 目の前の目的が達成されて、ねぐらにこもって考える時間も多くなって。

 考えながらうとうとしてると、夢を見て。
 ドーラちゃんと一緒で、明るくてあったかいおうちで、パパさんとサンチョさんもいて、おいしいごはんを食べてお風呂に入って。
 柔らかいベッドでドーラちゃんと一緒に眠って、とっても幸せな気分になって。

 だけど目を覚ますと暗い穴蔵で、あたしはひとりぼっちで。

 ため息をついてねぐらを出ては、食べるための狩りをしたり、経験値をかせぐために戦ったり。
 ねぐらに戻ったらなんとなく字を書く練習をして、またうとうとして夢を見て。


 そんな毎日を繰り返してるうちに、目を覚ましてがっかりすることにも慣れてきて、段々と感覚が麻痺していった。

 あんな幸せな毎日は、本当はなかったのかもしれない。
 前世の記憶みたいに、本当のことなのかわからない、あたしがあったと思ってるだけのことかもしれない。

 期待してしまうから、つらいけど。
 目を逸らしていれば、つらいことにも気づかないから。


 はっきり意識してたわけじゃないけど、頭のどこかでそんな風に考えて、また見ないふりをして。

 あたしはまた少しずつ、野生に馴染んでいった。



 そんな風に過ぎていった、十年目の春。

 洞窟の前の木にまた花が咲いて、あたしはまた傷をつける。
 傷が、これで十本。

 九年経って十年目だから、あと一年弱。

 錆び付いた感情はほとんど動かなくても頭でそう考えるあたしは、ほとんどキラーパンサーと言ってもいいくらいに大きくなっていた。

 だけど自分では動いてないつもりでも、やっぱり本当は動いてたのかもしれない。
 ただ、見ないふりをしてただけで。

 本当に動いてなかったら、あんな気まぐれみたいなことはしなかったように思うから。



 もう、ほとんどキラーパンサーなんだから。
 あと一年しかないのに今さら目立つのもよくないし、今日は少し遠出をしてみよう。
 この近くの魔物だけじゃ、もうあまりレベルも上がりそうにないし。

 そう考えたあたしは、今まで越えたことのなかったルラフェンの先、さらに西に進んで、あたしの経験値になる魔物を探していた。


 そこで初めて、キラーパンサーに会った。
 キラーパンサーのお母さんとかまだ子供のベビーパンサーとか、あたし自身を除いて初めての。


『……』

 なんて言ったらいいんだろう。
 あたしは経験値をかせぎにきたんだから、黙って倒せばいいのかな?
 だけど人間と、ドーラちゃんと一緒にいるわけでもないのに同
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ