第二十一話「壮絶料理対決 後編」
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、わたしの新しい名とを、書きつけよう。
――耳のある者は、御霊が諸教会に言うことを聞くがよい。
ヨハネの黙示録 第三章より
「――ハッ!」
なんだ、一瞬意識が次元の壁を越えていたような……気のせいか?
「そ、それで……どう?」
不安そうな色を浮かべながらチラチラとこちらを窺う。
俺は、バッサリ切り捨てた。
「うん、とっても苦いな」
「そ、そんな……っ、スカーレットはちゃんと美味しそうに食べてるわよ!?」
「それは火属性だからじゃないか? それに味覚とかないからな」
物を食べているというより廃棄物を処理しているような感じで咀嚼していくスカーレット。食べ終わると満足げに小さな火炎を吐いた。
いかにも想定外だと言いたげな顔のクレアの肩をフィアが叩いた。
「そんな暗黒物質食べるまでもないわ。勝負あったわね」
口元に手を当てて、フッと余裕の笑みを浮かべる。
ギリギリと歯軋りしたクレアはフィアの手を打ち払った。
「ま、まだ勝負は終わってないわ! アンタの料理だって不味いに決まってるわよ!」
「あら、悪あがきは醜いわよ? 確か、こういうのを東方では『負け犬の遠吠え』って言うんだったかしら。まあいいわ。私の料理で引導を渡してあげる」
フィアがクロッシュを開けると。
……ぐつぐつぐつぐつぐつ。
ぐつぐつと煮え立つ真っ赤なシチューがお見えになった。
「こ、こいつは……」
「にゃー」
先程見たときよりさらに赤みが増したシチュー。血のような赤い液体は完全に具を覆い隠している。
鼻をつく凄まじい刺激臭にクレアが叫ぶように言った。
「な、なによこれ! こんなの食べられるわけないじゃない!」
「あら、エルステイン侯爵家令嬢は食べてもないのに文句を言うの?」
艶やかな黒髪をかき上げてクレアを見下ろす。
「フェアじゃないわね。そういうの民衆の模範となる貴族としてどうかと思うわ」
「うぐぐ……っ」
いや、食べるのは俺であって君じゃないからな。
口先で丸め込んだフィアは優雅な微笑みを浮かべながらこちらに向き直った
「さあ、オルデシア王家特製ビーフシチューをご堪能あれ♪」
「……では、いただきます」
恐る恐る、スプーンを口元に運ぶ。
チラッと見れば真剣な目でフィアが事態を見守っていた。
――っく、いざ……!
意を決してパクッ
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