第121話
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倒れた時には手遅れで、身体中に転移していた。
医者にはもう治す事はできないと言われて、父さんは大泣きした。
今思えば、冥土返し(ヘブンキャンセラー)にでも頼めば、完治できたかも知れないがな。
話が逸れたな。
ベットに寝ている母さんは、病気で苦しいにもかかわらず、泣いている父さんを慰めた。
その時の俺は何をしていたと思う?」
「えっと・・・・一緒に泣いていたとか?」
「全く違う、俺はな病室の扉の前でただ立っていただけだ。
父さんと母さんのやり取りを黙って見ていただけ。
涙なんて一つも流していない。
でも、母さんはそんな俺を見ても、優しく笑ってこう言ったんだ。」
『ごめんね、恭介さん。』
「ごめんね、って言ったのか?」
「何でそう言ったのか今でも分からない。
けど、あの時の俺はそれが何かに響いたんだろうな。
俺は能力を使って母さんの身体中にある癌を全て消滅させた。
あの時の俺からしたら、本当に想像もできない行動だったな。
その後、二人は泣きながら抱き合って、無事に退院で今に至る訳だ。
ユミナさんを見た時、病院で寝ている母さんを思い出してな、それで助けただけだ。」
そこまで話した麻生は、何かに気がついたのか上条とインデックスの顔に、視線を送りながら言う。
「どうして、こんな事を話す気になったんだ?
何よりユミナさんを助けた理由を明確に言っていない気がする。
何がどうなって・・・・・」
何かぶつぶつ呟きながら、麻生は再び歩き出した。
自分でも、なぜこんな話をしたのか分からないのだ。
「ねぇ、とうま。」
「ん?」
「きょうすけって、意外に分かりやすいかも。」
「俺も土御門に言われた時はよく分からなかったけど、確かにあいつは分かりやすいかもな。」
何となくだが、二人は麻生がユミナを助けた理由が分かっていた。
麻生が秋葉を助けたのは、単に母親を失いたくないと無意識に思ったからではないだろうか?
そして、ユミナを助けたのは、その時と同じ気持ちが芽生えたから、助けたのだろう。
あの親子は少しだけ、自分の親と同じ境遇だったからこそ、助けた。
そんな単純な気持ちに麻生は気がついていない。
麻生は変わっていた。
それも良い方向に。
(あいつ、何だかんだで鈍感なんだな。)
上条も人の事は言えない事を思う。
「って、俺達もこんな所で突っ立っている場合じゃない。
早く、恭介に追いつかないと、部屋に入れてもらえないかもしれないぞ。」
「あっ!ちょっととうま!
待ってよ!」
先に歩いている麻生に追いつく為に、上条は走り出す。
その後ろをインデックスが慌てて追いかけるのだった。
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