第120話
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って死ぬ。」
その言葉を聞いて、二人は絶句する。
麻生はユミナに近づき、しゃがむ。
「少し、手足を触ってもいいですか?」
「構いませんよ。」
失礼します、と言って麻生はかけ布団をめくり、ユミナの足を触る。
「もう歩く事はできないようですね。」
「あら、貴方はこの病気について知っていたのね。」
「少しばかり。
このまま進行すれば、おそらく一年以内には貴女は呼吸不全になります。」
「医者にもそう言われたわ。
もって、二〜三年だろうって。
治療などを受けるにしても、お金がね。
見ての通り、貧乏だから。」
「娘さんはこの事は?」
「まだ、はっきりとは言っていないわ。
でも、気がついてたんでしょうね。
重い病気だと言う事は、だからあの子は盗みをして治療費を稼ごうとした。
馬鹿な娘ですよ、本当に。」
そう言葉を漏らすが、表情はとても穏やかだった。
自分の為に何かをしようとしているのが、嬉しいのだろう。
「でも、盗みはいけません。
今後はそういった事はさせませんから、安心してください。」
「どうして、俺たちにここまで教えてくれたのですか?」
麻生が尋ねると、ユミナは少し笑顔を浮かべながら言った。
「初めて会った時にね、分かったの。
貴方達は優しい人なんだって。
ナタリアが部屋に招いたと言うのも理由の一つだけど、一番の理由はそれね。」
麻生はかけ布団を元に戻す。
すると、上条が自分の財布からお金を取り出して、ユミナに差し出す。
「これは?」
「麻生、訳してくれ。
これぽっちじゃあ何の役には立たないけど、それでも少しは足しになるはずです。」
「これは受け取れません。」
「受け取ってください!
あの子の為にも。」
「気持ちだけ受け取っておくわ。
ありがとう、本当に優しい子ね。」
麻生に訳して貰った言葉を聞いた、上条は差し出したお金を強く握り締めた。
自分にできる事など、これくらいしかできない事を悔やんでいるのだろう。
その時、麻生が隣で軽くため息を吐くと、しゃがみ込みユミナの右手を両手で優しく挟み込む。
麻生が何をしようとしているのか分からないユミナは、それを黙って見つめる。
「ユミナさん。
足を動かしてください。」
「え?
でも、この足は・・・」
「いいですから。」
麻生に言われるがままに足を動かそうとする。
すると、今まで動かなかった足が動き出した。
それを見たユミナは驚きの表情を浮かべる。
「これは一体・・・・」
「少しおまじないをかけました。
明日には立つ事はできると思います。」
そう言うと、麻生は立ち上がり部屋を出て行
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