第二章 [ 神 鳴 ]
二十五話 神々の戦 古王と新王
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の瞬間、鋭く高速で地上へと降り注いだ――――その様は襲雨の如く。
土、処か岩すら軽く蒸散させる程の熱量を持つ刃が雨の様に降り注ぐ中――――諏訪子は鉄、岩、水、樹木、熔岩……持てる力を総動員し幾重にも天蓋を張り巡らせその猛威を凌いでいた。
しかし防御に徹していてはその内に破られる――――そう判断した諏訪子は打てる手を思考し……反撃の為に天蓋から飛び出す。
今だ降り注ぐ襲雨の中を駆け抜けながら、諏訪子は両手に鉄輪を創り出すと鳳凰に向け勢い良く投げ放つ。
飛翔する鉄輪は鳳凰に迫りながら分裂し、その数を十六にまで増やすと鳳凰を切り刻む兇刃となって殺到した。
だが鳳凰はその兇刃すら厭わず体当たりでもするかの様に鉄輪に向け飛翔すると――――鉄輪を半融解させながら弾き飛ばす。
そしてその勢いのまま地上の諏訪子目掛け再び襲来する。
大気を焼き払いながら迫る金色の暴威を見据える諏訪子の顔には――――――――笑みが浮かんでいた。
別に気が触れた訳ではない、その笑みは何かと問われれば――――悪戯が成功した子供の様な……そんな笑顔。
逃げる様に後方へと駆け出した諏訪子を、鳳凰は地上を疾駆するかのように低空飛行し大地を蒸散させていく。
そして鳳凰が後少しで諏訪子を捉える、と思われた次の瞬間――――
大気を震わせる程の鈍く轟く様な音と共に――――――――鳳凰が天空を舞っていた。
鳳凰が飛翔した訳では無い……その証拠に、宙を舞うその姿は……美しく飛ぶ鳥、ではなく空に放られた鶏の様。
鳳凰を空へと打ち上げたモノの正体は――――大地から突き上げられた十mは有る巨大な鉱石の拳だった。
鉄輪を囮に鳳凰を引きつけ……神力を注ぎ込んだ剛拳を死角から打ち込む――――諏訪子の策が見事に成功した訳である。
空中を錐揉み状態で落下していた鳳凰は地表の寸前で大きく羽ばたき、ゆっくりと地上に降り立つと雪が溶けるかの様にその形を消していく。
鳳凰が完全に消え去るとそこには天照が毅然として立っており、先程と変わらない強い眼差しを諏訪子へと向けていた。
しかし流石に無傷でなく、纏っている衣は所々焼かれ口の端には血が滴っている。そして疲労の為か少々息も荒かった。
「……ハァ……ハァ…………往生際が悪いですね、洩矢……」
袖で口元の血を拭いながら天照は諏訪子へとそんな言葉を掛けると、
「はん!そんな成りで強がってるんじゃないよッ!」
まるで射返すかの様に語気を荒げた。
両者互いに消耗は大きいが互いに一歩も引きはしない――――否、一歩たりとも引く訳にはいかなかった。
“王”という責任が彼女達の肩に掛かっているのだ――――自身の敗北はそのまま国の敗北と同じ事。
自らの誇り
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