第二章 [ 神 鳴 ]
二十五話 神々の戦 古王と新王
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巨大な太陽が天照の心情を表すかの様に輝きを増していき――――その表面に幾つもの渦を発生させた。
そして、その渦の回転が更に激しくなった瞬間――――幾つもの紅い光が、まるで槍の様に地上に向け放たれ大地を穿った。
紅い槍が撃ち込まれた場所は一瞬にして融解し、融けた大地は水飛沫の様に宙に舞う。
槍の脅威はそれだけでは収まらず、穿った場所から横へと薙ぎ払われ地上に幾つもの赤い線を引き――――線上に残された熱量が少し遅れて解放される。
引かれた線上から天に向け紅蓮の炎が撒き上がり――――その様はまるで天空へと掛けられた天幕の様。
諏訪子はその破壊の奔流の中を掻い潜りながらも反撃へと転じる。
両掌を胸の前で勢い良く合わせると高い音が響き渡り、諏訪子の周囲にその音の響きに合わせるかの様に銀色の塊が生まれていく。
銀色の塊の正体は――――拳大程の鏃。
その鏃は音の響きが消えた頃には、諏訪子の周囲を数百に上る数で包み込んでいた。
それと同時に地上から幾条もの水流が発生し、鏃一つ一つに纏わり付き――――そして鏃を核とした水の燕が形造られる。
「いけッ!」
諏訪子の令授に従い、数百の水の燕の群れが天空の太陽目掛け飛翔する。
太陽からは尚も朱槍が振るわれているが、水燕達は然も本物の燕の様に空を翔け抜け槍を躱し太陽へと突き刺さっていく。
一体一体では『像に針を指す』程度でしかないが一点に向け数百を集中させれば話は別だ。
天照もそれに気付き、水燕が集中してくる箇所へと力を集める為に攻撃を止め防御に入った。
攻撃が止んだ隙に次の手を打つべく、諏訪子は即座に行動に移す。
右手を天に向けるとその先に一つの鉄輪を生み出す、すると鉄輪はその場で回転を始める。
徐々に上がる回転速度に比例するかの様に鉄輪自体も肥大化していき――――遂には直径三十mを超える巨大な円刃へと変貌した。
その鋭く空気を絶つ音を轟かせる円刃は、まるで飛び立つ鳥の様に天高く高く飛翔し、そして――――太陽目掛け高速で飛来する。
その様はまるで、断頭台から振り下ろされる剛刃であった。
太陽へと振り下ろされた円刃は抉り込むかの様にその刃を紅蓮の塊に喰い込ませ――――紅蓮の太陽は逆にその刃を噛み砕くかの様に激しく灼熱を迸らせる。
円刃の高速回転と鬩ぎ合い激しく火花――――否、最早噴炎と言っても差支えない程の火炎を散らせる太陽を地上から見上げている諏訪子の口に不敵な笑みが浮かぶ。
水燕、円刃――――このどちらも諏訪子にとっては本命の一撃の為に打った布石だったからだ。
彼女の本命は天照からは全く見えず察知できない場所――――天照が太陽と化している場所の直下の地面の更に下…………地中深くで練り上げられていた
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