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東方虚空伝
第二章   [ 神 鳴 ]
二十五話 神々の戦 古王と新王
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ら。

「…………このような状況になるとは本当に予想外です。貴女方を侮っていた事を素直に謝罪しましょう――――ですが……勝利を手にするのは結局は我々――――洩矢よ……敬意を評し我が全力で貴女を討ちます、私の力……『太陽を生む程度の能力』で」

 そう宣誓する天照を諏訪子は忌々しく睨み、

「ふんッ!あぁそうかいッ!やれるもんならやってみなよッ!――――打ち砕けッ!!」

 諏訪子は猪の背から飛び降りながらそう命令を飛ばし、令授(れいじゅ)を受けた猪は生物の様な咆哮をあげると天照に向け、放たれた矢の如く突貫した。
 高速にして大質量の塊――――そんな暴威を前にしても天照は取り乱す事無く、

「……侮らないで頂きたいものですね」

 両手を左右に広げる――――その姿は全てを受け入れる様な、将又(はたまた)全てを開放する様な、そんな事を連想させる。
 そして次の瞬間――――凄まじい紅蓮が周囲を照らし出し、赤光に染められていった――――否焼き払われていた。

 空中に生まれたのは灼熱の球体――――百mを超える紅蓮の塊はまるで蒼穹に生まれた、二つ目の太陽の様だった。
 太陽が放つその熱量だけで、諏訪子が生み出した巨大樹の森は一瞬で消し炭にされ再び灰色の焦土へと変貌する。
 そんな暴虐の炎に臆する事も無く、黒曜の輝きを持つ猪は太陽へと牙を突き立てる。
 紅蓮を猛らせ暴威の獣を焼き払わん、とする太陽と――――獰猛に牙を突き立て灼熱の繭を喰い破らん、とする猪が激しく(せめ)ぎ合い、そして――――紅蓮によって猪が砕かれた。

 猪を(ほふ)った熱波はついでとばかりに更に森を薙ぎ払い焦土を広げ、太陽の中心である天照は灰色の地に立つ諏訪子を見下ろしながら、

「今一度名乗りましょう……我が名は黄泉 天照!この地上を照らす第二の太陽となる者、新たな秩序として輝く者――――古き神の王 洩矢よ、古き信仰の象徴よ、これは最初で最後の慈悲です、降伏し我が下に平伏(ひれふ)しなさい」

 そう高らかに宣誓と共に宣告を下した。
 彼女の言葉は、正に太陽の代理者としての地上への庇護の宣誓であり――――同時にこれまでの歴史への終止符の宣告である。

 天照の言葉を受けた諏訪子は、強い眼差しを天に座す天照に向けると、

「はんッ!御大層なご高説だねッ!あたしの答えは――――“お断り”だよ!それにね、地上に暮す人々にしたらお天道様が二つもあったら邪魔なんだッ!その偉そうな態度と一緒に引きずり墜としてやるよッ!」

 天照の宣誓にも負けない勢いで言葉を返した。
 それを聞いた天照は深く溜息を吐くと、空へと上昇を始める。

「洩矢 諏訪子……自分で吐いた言葉を後になって後悔なさい――――新時代の輝きに焼かれて!」

 天空で猛る
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