第二章 [ 神 鳴 ]
二十五話 神々の戦 古王と新王
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に大地を震撼させている所を見ると重量も相当なモノだろう。
異様なのは猪の肌だ――――生物特有の毛並など一切無く、身体全てがまるで黒曜石の様な輝きを放っている。
間違い無く生物では無い――――しかし猪の瑪瑙色の瞳には闘争心が滾り、全てを破壊するかの如く突進していた。
「「「 ッ!? 」」」
偶然か否か、猪の進路上に居た三人は突然現れた怪異に驚嘆しながらも、即座に回避行動を取り猪の突撃から退避する。
猪が通り過ぎる瞬間、三人は怪異の正体を理解した――――猪の背に諏訪子が立っていたのだ、あの猪は諏訪子の能力で生み出された物である、と。
通り過ぎていった猪は木々を薙ぎ倒しながら急旋回すると、今度は天照目掛け驀進を始めた。
巨体に似合わない速度で迫る猪に、天照はルーミアを撃つ為に創り出していた火矢を全弾打ち込み、六つの矢は的確に猪の鼻先に着弾し衝撃と爆炎を起こした――――が、それを全く意に介さず猪は天照に迫る。
「ッ!このッ!」
天照は、らしくない舌打ちをしながら猪の突進を空中に飛び上がる事で回避し、それを見た神奈子が主の危機を救う為に虚空に背を向けた――――それは虚空が待ち望んだ瞬間でもあった。
「天照様ッ!」
「隙……有りだよッ!――――神奈子ッ!」
神奈子の背に向け虚空は光弾を放つ――――四つの青い輝きを放つ菱形が一直線に彼女に迫るが、神奈子は後ろに目が付いているのでは?と疑いたくなる程正確に瞬時に振り向き全弾を棍で打ち砕く。
しかし一瞬の隙は一歩の遅れ――――光弾を防いだその間に虚空はすでに神奈子に肉薄しており、彼女が虚空を振り払う為に繰り出した棍撃はあっさりと虚空の剣戟に弾かれる。
そして棍を弾かれ懐を開けた神奈子の胸元に虚空の槍の突撃の如き蹴りが叩きこまれた。
「ッ!ガハッ!!」
苦痛の表情を浮かべながら空を切り吹き飛ばされていく神奈子と、それに追随するかのような虚空は森の奥へと姿を消していった。
この時点で虚空が狙っていた状況へと移行する事に成功していた――――しかし、それは舞台を整えたに過ぎず……戦局はまだ何も変わってはいない。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
木々の間を吹き抜ける風が空中で佇む天照の髪を揺らし、彼女は乱れる髪を抑えながら地上で猪の背に立つ諏訪子へと視線を向ける。
天照は素直に感嘆していた――――神奈子と須佐之男……あの二人を有しながら一対一というこの状況を生み出した諏訪側の意外性に。
それは優位者が不利者の健闘を称える様な、そんな上から目線の感情だった。だが彼女のその感嘆は当然だろう――――どう見積もっても大和の有利は明確なのだか
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