反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
[10/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
っているんですか?」
!?
馬岱の言葉に、周囲の皆が固まる。
ご主人様は、眉を動かしただけで表情は変わらなかったが……
「……どうして、俺に聞くんだい? 桃香から話は聞いたと思っていたけど」
「りゅーびさんのお話は、ここに来る途中で聞きました。梁州を守るためという話でしたけど……」
そのとおりだ。
対外的には、三州同盟と梁州を守るための参加、という事を言うようにしている。
だがおそらく、この少女はそんなお題目を聞くために来たのではないだろう。
見た目以上に聡い子のようだ。
「……それでは納得できないと?」
「……はい。翠姉様は脳筋で馬鹿ですけど、人を見る目はあります。その翠姉様が、西涼に戻ってからずっと口にしていたのが北郷さんのことでした。強く、賢く、仁義溢れる男性だと……たんぽぽ、聞いていて砂吐きそうなぐらいだったんです」
……翠めぇ。
「そんな人が、恩人である董卓さんを弾劾しようと連合軍に参加している。たんぽぽじゃなくても、おかしいと思いますよ。それに、りゅーびさんや関羽さん……皆さんの話も翠姉様から聞きました。絶対変です!」
「…………翠ちゃんが」
桃香様が、辛そうに目を伏せる。
私もそうだ。
思わずご主人様を見てしまう。
私達は、董卓殿を助けるためにこの連合に参加したのだ。
そのことを、今言ってしまいたい。
おそらく桃香様も、そして朱里や雛里も思っていることだろう。
だが、ご主人様は目だけで私達を制してくる。
「……だが、君も連合に参加している。その理由は何だ?」
「そ、それは………………」
言葉に詰まる馬岱。
馬岱とて、董卓殿に恩があるはずだ。
だが、彼女は今ここにいる。
「君がそうだったように、俺達も仕方なく参加している。そう言っても、説得力がないかな?」
「………………でも、先陣になったのは」
「董卓との親交があった俺達だ。踏み絵……いや、証明のために自ら志願した。最初は疑ったであろう袁紹も、これで疑いは晴れたはずだ。なにしろ……完膚なきまでに水関を先陣だけで落としたのだからな」
そのために……ご主人様は無理をした。
本当は、こんなことで兵を傷つけたくはなかったはずなのに……
「……じゃあ、本当に董卓さんを殺すんですか?」
「………………」
ご主人様は無言で寝台から身体を起こす。
その背中を桃香様が支えた。
「……君はどうしたい」
「……え?」
ご主人様の言葉に、馬岱は顔を上げた。
その顔は、まるで泣きそうな顔になっている。
「君が連合に参加したってことは、涼州は……西涼の馬岱は、董卓を討つために参加しているんだろう?」
「! ち、ちがっ……た
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ