反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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で私を見られているような、そんな気がした。
「……ところで、君は誰だい?」
ふいに気付いたように、ご主人様の視線が別方向に向く。
そこにいた少女が、えっという顔で左右を見た。
「え? たんぽぽのこと?」
「? それは……真名かい?」
そういえば、この少女は誰だろう。
ずっとここにいるから、桃香様が許可したとは思うのだが。
「あ、ご主人様……それに皆も紹介するね。この子は馬岱ちゃん……翠ちゃんの従姉妹なんだって」
!?
翠の……?
「あ、初めまして……というのも変ですけど、あらためまして。姓は馬、名は岱、字は伯瞻と申します。うちのバカ姉が以前お世話になりました」
そう言ってペコッと頭を下げる。
たしかによく見れば、面影が翠に似ている……
そうか。
彼女が義勇軍時代に、先に西涼に帰ったと言っていた従姉妹なのだろう。
「君が馬岱……君のことはお姉さんの翠から聞いていたよ。こんなみっともない格好ですまないな……」
あ……
私としたことが……こんな状態のご主人様に面会させた状態にしておくとは。
「あ、ご、ごめんね、ご主人様。私が馬岱ちゃんを天幕に呼んでいたの。そしたらご主人様が運ばれてきたから……馬岱ちゃんを帰すの、すっかり忘れちゃって」
「あ、わ、私こそすいません! なんか、お暇した方がいいかもとは思ったんですけど、言い出すきっかけが掴めなくて……」
「いや、君が悪いわけではないよ。自己管理が足りない俺が悪いんだ……すまん、桃香。水をくれないか」
「あ、うん……はい」
桃香様から渡された湯飲みの水を飲むご主人様。
顔色はまだ悪いが、意識はしっかりしているようだ。
「……ふう。それで、君が来たということは……翠はどうしたんだい?」
「あ、えと……お姉様は、董卓軍に味方すると言って、みんなの猛反対にあって、それで……」
「………………」
「……ご主人様。翠ちゃんは今、西涼の牢の中なんだって」
翠が牢に……?
そうか……周りに抑えこまれたのか。
「牢……か。なら、まだマシだな。最悪、董卓軍に参加しているかもとも思ったが……よかった」
ご主人様が安堵の息を漏らしている。
たしかにそうだ。
翠の性格を考えれば、董卓軍として相対する可能性だってあった。
それが回避できただけでも、ご主人様の心労の一端は取り除かれたことになるのだろう。
「あの……それで、天の御遣い様に聞きたいんですけど」
「……御遣いなんて呼ばなくていいさ。普通に北郷でも盾二でも、好きな方で呼んでくれていいよ」
「え? あ、あう……あ、ありがとうございます。そ、それじゃあ、北郷さん! なんで……なんで北郷さんたちは、董卓さんと戦
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