反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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思わず自問してしまう。
否、とは言えない。
ご主人様の考えなされる政策も軍略も……我らとは、天と地ほどの差がある。
唯一比肩しうるのは、ご主人様の臣と自他ともに認める朱里と雛里なのだ。
その二人からして、自責の念に耐える様子で青い顔をしているのだ。
我らが何を言えようか……
「……気にするな。俺の不摂生が招いたことだ」
「「「「「 !! 」」」」」
皆が皆、顔を上げる。
深い溜め息と共に、ご主人様がその目を開かれた。
「ご主人様、大丈夫!?」
「お兄ちゃん!」
「「 盾二様! 」」
桃香様に鈴々、朱里と雛里がそれぞれ悲鳴にも似た声を上げる。
よかった……
「ああ……すまん。俺としたことが倒れるとはな……そういえば、今日は昼から何も食べていなかったの忘れていたよ」
そう言って、ご主人様は青い顔で微笑まれる。
まったく、この御方は……
「お腹すいているのだな!? すぐにご飯をもらってくるのだ!」
「あ、鈴々ちゃん! 倒れたんだから重いものはダメだよ!」
「わかったのだ!」
飛び出そうとした鈴々に、そう指示を出す朱里。
鈴々は天幕を飛び出していった。
「もう、びっくりしたよ〜……ご主人様、無理しないでね? お願いだから……」
「……すまん、桃香。心配かけたな」
そう言って、青い顔で桃香様の手を取るご主人様。
桃香様は、その手を両手で握り、額に当てて目を閉じた。
相当心配した様子が、ここにいる誰もが理解できる。
「朱里、雛里、愛紗に星も……皆、心配かけた。本当にすまん」
「盾二様……いいえ、私達こそ無理をさせてしまい……」
「ひっく、ぐしゅ、ひっぐ……よがった……よがったでず……」
「主よ。もう少し力を抜くことを覚えなされ。上に立つものが無理をしては、下にいるものが休むことも出来ますまい」
朱里たち三人が、それぞれ安堵したように答える。
私は、ほっとした反面、少し腹が立った。
「桃香様と違い、ご主人様でしたら体調管理もしっかりなさっていると思っていたのですが…………これでは桃香様同様、ご主人様の面倒も見なければなりませんね」
「はは……ああ、まったくだな。すまん……」
力なく笑いながら、青い顔で私に謝るご主人様。
その痛々しい姿に、内心飛びついて抱きしめたい衝動に駆られる。
「うっ……ぐ。く、口だけではダメです! 明日から、長時間の無理な仕事は厳禁です! 睡眠もしっかりとって下さいね! もう梁州は……そして劉備軍には、ご主人様が不可欠なのですから」
「………………そう、か」
ん?
何故だろうか……ご主人様が、心なしか苦笑したというか。
申し訳ないような顔
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