反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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る。
卑弥呼と呼ばれた白髪の大男は、その言葉に豪快に笑った。
「わぁっはっはっは! 何を言うかと思えば、貂蝉よ。儂らの役目は、外史を管理すること。そして北郷一刀という、外史に囚われてしまったまいだぁりんを、全ての外史で守ることじゃろう。なれば、儂はその役目を果たすだけじゃよ」
「卑弥呼……」
黒髪の大男――貂蝉が、消沈したような顔で卑弥呼を見る。
その貂蝉の表情に、ふっと優しく笑った卑弥呼は、その肩を叩いた。
「だぁりんを頼むぞ、貂蝉。もちろん、もう一人のだぁりんものう。儂ら管理者が起こした過ちで、彼らを失うわけにもいくまいて」
「……そうね。それこそが私達の『今の』使命だものねぇ……」
外史の管理者――その使命の重みに、貂蝉は目を閉じ。
そして再び開いた時には、その眼差しに決意の意思が見えた。
「わかったわ。龍脈活性の儀を行うわ。卑弥呼……龍脈のコントロールはまかせたわよん」
「うむ。この命に代えても、決して大陸を崩壊などさせん。まかせよ」
―― 関羽 side ――
「桃香様! ご主人様が倒れたというのは本当ですか!?」
「お兄ちゃん!」
私と鈴々が慌てて天幕に戻ると、そこには寝台で青い顔で横になるご主人様がいた。
「ご主人様!」
「お兄ちゃん、しっかりするのだ!」
寝台の傍には桃香様、朱里、雛里、そして星が心配そうに佇んでいる。
……む?
見たこともない少女もいるが……
「朱里、雛里! お兄ちゃんは一体どうしたというのだ!?」
「落ち着いて、鈴々ちゃん。ただの過労だから」
鈴々を抑えながら朱里はそう言う。
だが、その朱里自身の青い顔が、不安になっている心をさらに不安にさせていた。
横を見れば、雛里が今にも泣き出しそうなぐらいに震えている。
「ご主人様……無茶し過ぎだよ。私に言えたことじゃないけど……」
「桃香様……」
桃香様は、ご主人様の額に乗せた布巾をとり、近くの水桶に浸して絞っている。
桃香様自ら……
「……思えば、我らは主の力を知っているばかりに、いつのまにか主に全てを押し付けていたのやもしれませんな」
「「「「「 ……………… 」」」」」
星の言葉に、私達は皆、何も言えなかった。
また……また、ご主人様に無理を強いたのか。
あの義勇軍の時のように……
ふと見れば、桃香様は両手で顔を覆って何かに耐えるように歯噛みしておられる。
桃香様も、また押し付けたのではないかと自問しておられるのだろう。
それは朱里も雛里も……そして鈴々すらも同様だった。
(我らはご主人様の力を頼るばかりで、ご主人様の力にはなれていないのではないのか)
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