反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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も異様ではあった。
白い髪に茶黒い肌、そして――ほぼ裸体に近い、上着と褌。
その男も大男――違うのは、老域に達しそうなその風貌だった。
「この外史自体が、元々イレギュラーな作りをしているわねん。オマケに銅鏡にも細工されていたようだぁし……おそらくは左慈と于吉の仕業ね」
「ふむ……またあやつらか」
二人の深い嘆息が、暗く広い祭壇の間に反響するように響いた。
「なれば、あやつら二人を締めあげてはどうじゃ? 今のあやつらは、力も半分封印されておる。儂らの片方でも、二人を相手にできるじゃろうて」
「……ダメよ。すでに彼らは罰を受けているわ。この上、証拠もなく彼らを抑えつけたら、不満に思っている保守派の仙人たちが、一斉に反旗を翻しかねないわ。それは、大昔の大戦の再現になるわよん?」
「ふむ……太公望が起こした封神大戦か。あれも今思えば、むちゃくちゃな計画じゃったからのう。今そんなことになったら……外史はおろか、正史にまで影響が起きかねん」
「ええ。だから今、そ〜んなに無茶なことは出来ないわ。向こうも力が半分封印されていることで、私達にちょっかいかけることができないでいるしねぇ。だ〜からこそ……ご主人様の転送時に何らかの仕掛けをしたと思うのよねん」
「ふむ……向こうの世界から続く通信の不調。龍脈の力でも目覚めないまいだぁりん。そして、長期のリンクの欠損に依る、ご主人様同士の存在のゆらぎ……確かにまずいのう」
白い髪の大男が、自身の髭を弄びながら呟く。
そんな様子にも、黒髪の大男は首を振る。
「おそらくはぁ、于吉辺りがもう一人のご主人様に何らかの仕込みをしたのよ。その仕込みがぁ、ウイルスのようにリンクを阻害しているんじゃないかしら? こ〜のままだと、両方が消えかねないわねぇ」
「……まずいのう。なんとかする方法はあるのかの?」
「か〜なり荒療治になるなら……ご主人様を目覚めさせること自体は可能よん? でも……もう一人のご主人様の方に、何らかの影響が出かねないわねぇ」
「ふむ……だが、やらなければまいだぁりんも、もう一人のだぁりんも消えてしまうのじゃろう? ならば、多少のリスクを承知でもやるしかあるまいて」
「……そうなんだけどぉ。正直、怖いのよねぇ。た〜だでさえ、龍脈を刺激しているんだもの。ご主人様を目覚めさせた途端、龍脈が暴走する危険が大きいわぁ。その場合、私か貴方のど〜ちらかが、龍脈を抑えなければならないわよぉ?」
「ならば儂がそれをやろう。お主は目覚めたまいだぁりんを連れて、もう一人の元に行けば良い。そこでリンクを復活させれば、二人共存在が確定するはずじゃ」
「……いいの? それは貴方が、この外史に影響できなくなることになるのよ、卑弥呼」
今まで砕けた口調だった大男が、急に真面目な顔にな
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