反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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コピーである、俺のできることを……
(はあ……いかんな。精神的に本当に参っているようだ。こんな状態じゃ、董卓殿を助けることもできん。今はもう休もう……)
もしかしたら、少し鬱になっているのかもしれない。
仙人界で一度死んだことで、PTSD(外傷後ストレス障害)にでもなったのだろうか?
もし、そうだとしたらまずいな。
投薬できる薬なんか調合できないぞ……
「おお、主。こちらにいました……主! いかがなされた!?」
「は?」
ふと、声をかけられたと思ったらいきなり詰め寄られた。
誰かと思ったら星だった。
「星? いきなり大声出してどうした……?」
「ご自分で気付いておいでではないのですか!? 顔が真っ青ですぞ!」
「へ……?」
星に揺さぶられて身体がガクガクと動く。
気がつけば、思うように動くことも出来ない。
あ、れ……?
目の前がすうっと暗くなるのを感じて――
俺は意識を失っていた。
―― ??? side ――
「ま〜ずいわね……」
声がする。
暗闇の中、一つの明かりに照らされた広大な広間。
周囲は洞窟内にもかかわらず、石造りにて舗装された場所。
そこは石で作られた祭壇だった。
陽炎のように揺れる蝋燭の明かりが、一人の人影をゆらゆらと映し出す。
それはその場に似つかわしくない、茶黒い肌をはだけさせた黒髪の人物だった。
たった一枚、桃色の下着を履くのみの姿である。
「ご主人様のリンクが途切れようとしているわ……このままだとご主人様も、も〜う一人のご主人様も、危ないかもしれないわ」
石の祭壇には、一人の男性が横たわっている。
だが、その人物の顔は苦悩に満ち、脂汗も浮かべていた。
「この二年、じぃ〜っくりと龍脈の力をご主人様に満たしてきたけどぉ、一向に目覚めない……いぃえ、目覚めるのを拒否しているフシすらあ〜るわね。本当にマズイわ……」
呟く言葉は女性なれど、その姿は女性ではない。
むしろ男性であることを全面に出したような、筋骨隆々の大男。
その異様な人影が、蝋燭の灯に照らされてゆらゆらと揺れている。
「そんなにまずいのかの?」
ふいに別の声がする。
男の――少ししゃがれた声。
その姿に、元からいた人影が顔を上げて頷いた。
「ええ……このままじゃご主人様が目覚めないだけではな〜いわ。もう一人のご主人様すら……いいえ。おそらくこの外史自体すら、存続が危うくなりかねないわねぇ」
「そこまでの事案じゃと? まいだぁりんは、もう目覚めていてもおかしくはないはずじゃが」
新たな声の男が、祭壇前で歩みを止める。
その男の姿
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