反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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ラムディ爺さんのような『神の手(心霊手術)』もなく。
仙人界のような不老長寿の水もない。
この光景を見るたびに思うのだ。
人とは、なんと無力なのだろうか、と。
(……だがら俺と一刀は、ラムディ爺さんの教えを請うた。だがどうだ……多少の医術を覚えたところで、全てを救えるはずなど、ない。わかっていた、わかっていたはずだ……)
A級チームを率いていた時から……いや、傭兵時代からもわかっていたことだ。
医術を覚える前には、等しく諦めていたこと。
だが、なまじ医術を覚えたせいかもしれない。
いつからだろうか……助けられない命に、歯がゆさを覚え始めたのは。
(仲間を助けるために覚えたはずが……その技術を覚えた故に絶望するなんて。俺は阿呆か……)
医術を覚える前に言われた、ラムディ爺さんの言葉が今になって沁みてくる。
『軽いキズを治せる程度には教えてやる。だが全てを救おうなどと思うな。どうもお前さんはあの優に似て、色々抱え込もうとするクセがあるからな……』
本当は教えるべきじゃないかもしれん、とまで言われた。
それでも覚えることを選んだのは俺だ。
いまさらなにを悔やむというのか。
(おかしいな……どうも最近、俺は精神的に弱くなっている気がする)
アーカムに保護されるまでのことは、もうあまり記憶が無い。
アーカムでの訓練では、いつも隣に一刀がいた。
A級チームを率いていた時も、一刀がムードメーカーになっていてくれた。
そしてスプリガンの養成を受けた時も……
俺の隣には、当たり前のように一刀がいた。
(だが、一刀はいない……あれからすでに二年以上が過ぎている)
一刀を救うために華佗に託した。
それからはこの時代で、一刀が目覚めた時に少しでもいい状態にしてやりたい一心で義勇軍を動かした。
だが、この世界は一刀が生み出した事を知り、自分の存在理由を知った時。
何かが俺の中で壊れたような気がする。
俺の中に眠っていた何かが起き始めた。
(いつからだろうか……一人でいることに不安を覚えだしたのは)
仙人界での修行は、一時そのことを忘れさせてくれた。
桃香たちの元に戻ってからは、仕事の忙しさに救われた。
毎日くたくたになるまで働いて、夢も見ないぐらいに眠る。
お陰であの声――貂蝉とかいったあのオカマ声の夢は、最近全く見ない。
だからなのだろうか……
(一刀は、一体いつ目覚めるのか……)
一刀が目覚めなければ、今考えていることは全て無に帰してしまう。
一刀のために準備していることが、全て意味が無い。
あいつが目覚めた時こそ、俺は事を起こすつもりなのに。
一刀の
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