反董卓の章
第12話 「お姉様って…………呼んでいいですか?」
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孟起殿ですか。あの錦馬超の名で有名な」
「そうそう。以前義勇軍で共闘していたんだよ。一緒に霞さん……張遼さんの副官としてね」
「……それはそれは」
義勇軍時代の上司が今や敵。
いや、正確には助けるのですから敵ではないでしょうが……
立場的にはつらいものがありますな。
「翠姉様のことだから、きっと迷惑かけていたと思います。本当にご迷惑をお掛けしてすいません……」
「え? そんなことないよ? 私よりもしっかりしていたよ。宛では包囲軍の一翼を担っていたし」
「翠姉様のほうが……? あの、りゅーびさん、大丈夫なんですか?」
「えっと…………どういう意味、かなぁ?」
知り合いの従姉妹とはいえ、初対面であろう人物にまで心配されるとは……
我が主とはいえ、大丈夫であろうか?
「あ、いえ! 別にりゅーび様がどうこういうんじゃなくてですね! うちの翠姉様はホント脳筋なので、その辺が心配というか……」
「……つまり、私も脳筋ってこと? へーほーふーん……」
「いえ、その、あの………………あはははははは」
どうもこの子は、口が災いの元であるな。
まあ、気持ちはわからんでもな――
「………………」
「と、桃香様? 何故にいきなり睨むのですか?」
「ぷぅ……なんとなく?」
なんとなく、で睨まないでいただきたい。
「はあ、まあいいや。それでね、馬岱ちゃんがご主人様に会いたいっていうんだけど……(ぼそ)今、大丈夫かな?」
「(ぼそ)……おそらくは。ですが、今は治療所におりますので、なんとも……」
「うーん……と、とりあえず! 私の天幕に案内するね! 翠ちゃんの話も聞きたいし!」
「……わかりました。主の様子を見てきましょう」
「ごめんね。ありがとう、星ちゃん」
やれやれ……命の洗濯の時間はとれぬようだ。
とほほ……
―― 盾二 side ――
「ふー……よし。あとは安静にして定期的に清潔な布と包帯に取り替えろ。膿は必ず洗い流せ」
「はっ……御遣い様。そろそろお休み下さい。戦が終わってから、もうずっと休憩なしではありませんか」
ん……そうか、もう夜になっていたのか。
そういえば暗いから明かりをつけろといった記憶がある。
時間の感覚など、すっかり忘れていた。
「すでに夜も更けました。あとの手当はこちらで出来るかと」
「……そうか。間に合わなかった者の数は……朱里へ報告しておいてくれ」
「は。お疲れ様でございます」
周囲を見回して、そう指示する。
辺りには命を拾った者、間に合わなかった者、致命傷で手の施しようがなかった者……様々だ。
(所詮は自己満足……全員救うことなど出来はしない)
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